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18 皇太子様はお兄様がお好きのようです





エドワード様にエスコートされ、ダンスホールに向かう途中、

舞踏会のホール全体から視線がそそがれてると感じた。

お兄様と舞踏会に足を踏み入れた時以上に、

今度は私自身に向けられる好奇の目が強くなっているような気がした。

注目されることに慣れていない私は、体が緊張で硬直してしまった。

動きがぎこちなくなり、足がすくむ。




エドワード様はそんな私を察して、

優しくそっとリードしてくださった。

エドワード様の手が私の背をそっと押し、

自然にダンスホールへと迎えるように優しく後押ししてくださっている。

エドワード様の気遣いと優しさが伝わってくる。

さらにエドワード様がはそっと耳元で言葉をかけてくださった。





「ごめんね、

こんなに注目を浴びさせてしまって。

そんなつもりはなかったんだけどね。

ヴィンセントには申し訳ないと思ったけど、

一目君を見たらどうしても踊りたくなってしまったんだ。」





と言いながらエドワード様はちょっと困ったような顔をした後にウィンクをした。

黄金色の瞳がシャンデリアの光を受けてキラキラと輝いていた。

その無邪気な仕草に私は少しだけ緊張がほぐれた。





「先ほど、お兄様とは長い付き合いだとおっしゃっていましたが、

それほど仲がよろしいのでございますか?」

私はエドワード様気になっていた質問を投げかけた。



エドワード様は笑いながら答えた。

「そうだね、本当に長い付き合いだよ。

それなのに、君に一度も会わせてくれなかったんだ。

ひどいやつだろう?公爵家に行った時も、僕を警戒していたのか、

頑なに君を僕の前に出そうとしなかった。

すぐさま、婚約話でも持ち込むと思ってたのかな?

ラファエルは君を何度か王宮で見かけたって言ってたけど、

僕はラファエルほど自由に王宮の一般開放してるところをふらふらしてる時間はないから、

君を最後にみたのは君がまだ本当に小さくて、ご両親が健在の時だね。」




「そうでしたの……」

私は混乱しながら相槌を打ったが、

その言葉の意味がなかなか飲み込めなかった。

「婚約を申し込む」という唐突な話題が、さらに私を混乱させた。

そんな心情が顔にでいたのか、





エドワード様は微笑みを浮かべ、

少しいたずらっぽい目を向けてきた。

「誤解しないでね。僕はヴィンセントが大好きだから、

冗談でね、彼に『結婚するなら君の妹がいい』なんて言ってたんだよ。

ヴィンセントは真面目だから、それを間に受けて警戒していたんだろうね。」





そう言ってくすくすと微笑んだ。

少し前の混乱が落ち着き、

「冗談でしたのね……」

と、胸を撫で下ろし、ほっと息をついた。




その様子を見て、

エドワード様はまたくすくすと笑いながら、

「君たち兄妹は、裏表がなくて正直だよ。

本当に見ていて飽きないんだよね。」

と言った。





エドワード様が楽団に軽く目をやると、指揮者が指揮棒を構えた。

ダンスの始まる合図だ。




「まあ、今は僕と君の時間だ。僕とのダンスを楽しんでくれると嬉しいな」

と、エドワード様は私に一歩近づき、手を取り、音楽に合わせてダンスを始めた。

エドワード様のダンスは動きに迷いがなくスムーズで

私に気を遣ってくださっているのがわかる。

エドワード様のリードのおかげで、

緊張したぎこちない動きも次第に薄れていき、

私はダンスを純粋に楽しむことができた。





踊りながら、エドワード様が私の口元でささやいた。

「この前、高熱で寝込んでいた妹が記憶を失ったんだが、

どうにかならないかとヴィンセントが珍しく僕を頼ってきたんだよ。

一流の学者や医者を向かわせたんだけど、完治はできなかったようで申し訳ない。

でも感情というのは、記憶がなくても正直なのだろうね。」

エドワード様は少し申し訳なさそうな顔をしたあと、優しく微笑んだ。

あの大量のお医者様や学者様はエドワード様のおかげだったのかと合点がいった。





「そうだったのですね、お気遣い感謝いたします。」

私は正直にそうこたえた。

しかし「記憶がなくても、感情は正直」というエドワード様の言葉が私の中に引っかかった。

記憶がなくても私は私で、同じ食べ物や人を好むように

やはり感情も記憶失っても変わっていないのだろうか。

もしくは記憶を失っても、同じ感情を抱く結果になると言うことだろうか。

エドワード様のステップに身を委ねながら、そんな考えが頭の中でぐるぐると回り続けていた。






鈍感少女、そろそろ自分の気持ちに気づく…?!


今回もお読みくださりありがとうございました♡


毎日更新頑張りますので、ぜひブクマや評価もお願い致します╭( ・ㅂ・)و


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