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10 嫉妬のようだ(ヴィンセント視点)


今日はレナが訓練場に見学に来る日だ。

でもいつも通り練習をすればいい。

そう思って訓練場で剣を振るっていたが、ふと視線の端にレナが入った。

見学場からレナがこちらをじっと見つめているのがわかった。

レナの視線が泳いでいるので少し観察してたどってみると、



その視線の先にいるのは……レナードだった。




心の中で何かがざわつき、

無性にいらだつ感情がこみ上げてきた。

レナードがレナに向かって手を振っているのを見て、

沸々と心が煮えたぎるのを感じた。

抑えきれない衝動でレナード一騎打ちを申し出た。






「レナード、手を止めている暇があるなら、俺と一騎打ちしないか」

レナードは驚いたような顔をしながらも、すぐに笑って頷いた。

「ヴィンセント様が一騎打ちを自分から申し出るなんて久々っすね。

本気で行かせてもらいます!」

と勢いよく誘いに乗った。





だが、俺の心中はそれどころではなかった。

レナが見ている。絶対に負けるわけにはいかない。

彼女の前で、私は完璧でいなければならない

――その思いが頭の中を駆け巡り、剣を抜く手に力が入った。

レナードとの勝率はだいたい60~70パーセントだ。

彼も強いが、負けるつもりはなかった。





「いつにもまして本気ですね、ヴィンセント様」

とレナードが軽く冗談を飛ばし、剣を構えた。

「俺も負けませんよ」

互いに剣を交えた瞬間、金属音が響き渡り、激しい打ち合いが始まった。

打ち合いは激しさを増し、剣が火花を散らす。

レナードの動きは鋭く、彼の剣技は一流だ。

しかし、今日は私も負ける気はなかった。

「レナ様が見ているからって、張り切りすぎじゃないっすか?」

とレナードが冗談交じりにあおるように言ってきたが、

私はそれに応えることなく、さらに攻撃を加速させた。





「……レナード、黙れ」

剣と剣が激しくぶつかり合い、

決着がつかないまま続いていたが、

ふと耳に「お兄様!頑張って!」というレナの声が聞こえた。




その瞬間、疲れが一気に吹き飛び、

俺は最後の力を振り絞って怒涛の攻めを繰り出した。

「……っ!?」

レナードが驚いたような声を上げ、俺はそのまま彼の剣を弾き飛ばした。

完全に俺の勝利だった。





「マジで容赦ないっすね、ヴィンセント様……次は負けませんよ」

私は荒い息を整えながらも冷静を装い、短く言った。

「少々ムキになりすぎた。すまん。だが、勝負は勝負だ」

レナードは笑いながら肩をすくめ、剣を拾った。





視線をレナの方に向けると、

彼女はホッとしたような表情を浮かべていた。

レナが見ているのに、少々やりすぎたかと一瞬だけ後悔したが、

レナが見学場から降りてきてレナがにこにこと

駆け寄ってくる姿ですべてが吹き飛んだ。





「お二人とも、お怪我はありませんか?」と彼女が心配そうに聞いてきた。

「大丈夫だ」と私は短く答えた。

レナは再び安堵したように微笑み、それが疲れを吹き飛ばした。

「お兄様、すごい試合でしたわ。かっこよかったです。」

とレナが言った。

「いや、レナの声援のおかげでかてた。かっこよくなんてない。ありがとうレナ。」

と正直な気持ちをレナに伝えると、レナは少し赤くなってうつむいた。





「レナ様~三日?四日?ぶりっすね!

執務室であった以来!練習見に来てくれるなんてうれしいっす。」

とレナードが会話に割り込んできた。うるさいやつだ。

「お前を見に来たんじゃない。」と言うと

「そうすか~レナ様もヴィンセント様のファンですよね~俺にもファンが欲しいっす~」

とレナードが訓練場の周りに集まる令嬢を見渡しながらいう。

「え?あのご令嬢は皆さまはもしかして、お兄様のファンなのですか?」

とレナが聞き返す。




自分が兄のファンといわれていることには特に気にしていない様子だが、

実際どうなのか気になって直接聞きたい衝動にかられたが、

そんな勇気はなかった。

レナードが笑いながら、

「半分くらいはそうっすね~。

あとは今日は来てないっすけど、

王子のエドワード様目当てが半分くらいですね。」

というとレナは少し複雑そうな顔をした。





その瞬間、周囲の騎士たちがじろじろとレナを見つめていることに気づいた。

「やっぱりいつ見ても、レナ様はかわいらしいな」

といった声が聞こえ、なんともいえない不快な気持ちが込み上げてきた。





「レナ、ここにはむさくるしい男たちばかりだ。

見学場でゆっくりしていなさい」

と言うと、レナは素直に頷いて

「わかりました、お兄様。もう少しお兄様と騎士団の方の練習を見ていきますね。」

と言って見学場に戻っていった。





彼女の存在がこんなにも多くの視線を集めている。

彼女が舞踏会に行ったら、どれだけの男たちが彼女に群がるだろうか――

その想像が頭を離れず、気分が落ち込んだ。

舞踏会、どうしたものか。そう思いながら、休憩の終わった騎士団の練習を再開させた。






少し分量が多いかなと思い、分割しました!通知してくださってる方々は重複になりすみません( ;∀;)

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