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1 記憶喪失のようです

完結後追記:

くっつくまでの展開めんどくさい&エロ耐性あるかた(18歳以上)

はノクターンノベルズの「冷徹侯爵は妹を病的に甚振る(いたぶる)」

で婚約編を5行で終わらせてラブラブ展開に入っていますので

そのほうが楽しめると思います。

深く美しいワインレッドが目の前に広がる。

その濃淡が布地の細かな刺繡だと気が付いたのは、

目が覚めてから何分経ったころだったろうか。

顔を横に向けてみると、広い窓に美しい緑の木々が

風に吹かれて気持ちよさそう揺れている。

私は生きているという実感が沸き起こるとともに、

なぜ自分がこんなにもこの状況に混乱しているのかがわからなかった。

記憶を呼び起こそうとするも、何も浮かばない。

ぼんやりと自分を心配する大人の声や、ベッドから見る窓の景色が浮かんでくるが、

そのほかに自分の状況を把握するような記憶はなかった。




ノックの音にびくっとし、顔を向けると、

黒髪に色白で目がくりくりしたメイド服をきた女の子が、

真っ青な顔つきになってお盆に乗せた水差しをこぼし悲鳴を上げた。




「レナ様がレナ様が…!」

と大声を出しながら部屋を出ていき、そのあとは何秒間か

「レナ様が目を覚ましました。」

という声が何回も廊下に鳴り響いているのをぼんやりとした頭で聞いていた。




その声から1分もたたないうちにドアを思いっきり

開け放ち入って生きたのは銀髪できれいな

切れ長の青い瞳をした長身の男だった。

「レナ…」といってその男性は私を見て泣きそうな顔をしながら

やさしく私の顔を触り、抱きしめた。




間髪入れずに、白髪の老人が入ってきて、

「お坊ちゃま、医者の来る前にお嬢様のお体をむやみに触るのは…」

と言いながらも、優しそうな目で私とその銀髪の青年を見つめてきた。

「そうだ、医者はまだなのか?」

「ちょうどお嬢様の薬の相談や調合に街に出ていますが、

あと10分もすれば戻ってくるかと」

「そうか。」

そう言ってる間も青い瞳を私からそらさない。

瞳はきらきらと光っていて、まるで夜明けに光を受けた海のようだった。




「レナ…レナ…話せるか?」

たぶんレナは私のことなのだろう朦朧とした意識の中で判断し

私はその問いに答えようとした。

「あ…あ…は…い」

久々に声を出したからなのかうまく発声できず、

何度も口ごもりながらかすれた声で答えた。

そうするとまた青い綺麗な瞳がゆらゆら揺れて光った。

「本当に良かった…」

そう言ってまた抱き着こうとすると、またドアが開き、二人が振り返った。




「すみません、お待たせしてしまいました」

と、すこし小太りの優しそうな眼をしたくるくるした髪の毛のかわいらしい老人が入ってきた。

「はやく、はやく、レナをみてくれ。」

青い瞳の青年はその老人のために少しだけ私との間にスペースを作った。

その老人は私の手を取り、顔に手を当て、

丸い金属を当て、目の中を入念にチェックした。




「問題ないようにございます。

まだ体が完全に回復したわけではないので、

安静にする必要がありますが、

栄養のある食べ物と薬を飲んでいれば、

一週間もすれば、外に出ても問題なくなるくらいに回復するはずです。」

その老人はにこにこ私を見つめ、それから青い瞳の青年と白髪の老人を目を見合わせた。




「アイン、

すぐになんでも滋養のあるものを取り寄せ、

レナの体に負担のないものを厨房につくらせろ。

あとすまないが、ダインも厨房に行ってシェフたちに指導してきれくれないか。」

そう青い瞳の青年がいうと、

二人の老人が「かしこまりました。」といって部屋を出て行った。





「レナ…レナ…」また青年が私の名前らしき名前を呼びながら手を握った。

「あ…」と私が「大丈夫」と伝えようとするもまたうまくいかず、

その様子にまた青い瞳が揺らいだ。

「何も話さなくていい。」そう言って私の頬をなであた。

「この優しい青年は誰なんだろう」と思いながらも、私はその温かい手に安心し、目を閉じた。




再び起きると窓際に、黒髪のくりくりした目のメイドが座っていた。

「レナ様!!お目覚めになったんですね。食欲はありますか?」

と言い、私がうなづくと嬉しそうに部屋を出て行った。




再びドアが開いて、入ってきたのはあの青い目の青年だった。

昨日に比べるとなぜかやや仏頂面だが、それでも私を見るまなざしは優しい。

入ってくると無言で先程までメイドの座っていた椅子に座り私を見つめた。




5分くらいしてメイドが入ってくると、

もともとくりくりした目をさらにくりくりさせ、慌てて

「公爵様、失礼いたしました。」と頭を下げた。

メイドが押してきたワゴンには台からあふれだしそうな量の色とりどりの食事が用意されていた。




「いや、いい。君は下がって。」それだけ言い。

メイドはすぐさま部屋を出た。

青い瞳の公爵様はドアの近くに放っておかれたワゴンをベッドの横までもってくると、

「どれでも好きなものを選べ。」と言って、

私の体を壊れ物でも扱うかのようにゆっくりと起き上がらせ、クッションを背中に移動させた。




私は困惑しながらも、目に飛び込んできた赤くてきれいな小さな丸い粒を指さした。

青い瞳の青年は「ラズベリーだね」というと、

その丸っこい赤いものをお皿に移し、すこしスプーンでつぶして私に食べさせた。

甘酸っぱくて、みずみずしいものが舌にあたって、

口中に広がる濃厚な味にびっくりしていると。

「レナは本当にラズベリーが好きだね。」と青い瞳が笑った。

笑った青年の顔は、たまらなくまぶしくて、私もうれしくなった。

「わら…って」と潤った喉でゆっくりと私が言うと、

その青年の顔はまた曇って、目が揺らいだ。





青年は私をゆっくりまた抱きしめた。




数ある中で、この物語を選んでくださり、ありがとうござました♡


完結後追記:

くっつくまでの展開めんどくさい&エロ耐性あるかた(18歳以上)

はノクターンノベルズの「冷徹侯爵は妹を病的に甚振る(いたぶる)」

で婚約編を5行で終わらせてラブラブ展開に入っていますので

そのほうが楽しめると思います!よろしくお願いします!

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