世直し編 全日本毎日が日曜日計画
000N「ご町内の平和を守ってきた魔法少女ななこ!
しかし平和そうな町にもまだまだ悪の気配が満ち溢れていた。
現代社会の闇に人知れず潜み悪事を働く怪人達を倒すべく、
今ここにななこの世直しが始まった!
戦え、魔法少女まじかるななこ!」
001N「今まさに、エフェクターブルーは怪人テラ二ートを追跡していた」
002ブルー「この野郎!待ちやがれーっ!」
003怪人「働きたくないでござる!働きたくないでござる!」
004ブルー「この社会のゴミめっ!ブルーレーザーガンを受けてみろっ!」
005怪人「現実からの逃避行!!!」
006ブルー「くっ……逃げられたか。しかし、まだ遠くには行ってないはず。必ずとっつかまえて更生させてやる!」
00t怪人魔法少女まじかるななこ 第9話『全日本毎日が日曜日計画』
007N「今日、優子は街へと遊びに来ていた」
008優子「半年おこづかい溜めてとうとう溜まった!これで星座早見盤付の星座図鑑が買える!」
009N「優子は軽い足取りで本屋へと向かった、が……。」
010優子「臨時休業……。この本屋さん何かあったのかなぁ。仕方ないからちょっと遠いけど大きい本屋さん行こう」
011N「優子は気を取り直してもう一つの本屋へと向かった。しかし……」
012優子「ど、どうしてこっちも閉まってるの……?」
013N「それだけではない。街中の店という店が正月でもないのに軒並み閉まっているのである。優子はこの異常事態に戦慄を覚えた」
014優子「お店が一件も開いてない……どういう事なの……。」
015ななこ「うゆゆーーーっ!何で今日はどこのアイスクリーム屋さんも開いてないのー!」
016ももんが「怪奇だよななこちゃん……何者かの陰謀だよきっと!」
017ななこ「私、今日チョコミントを食べる事だけを楽しみに今月を生きてきたのにぃ~~~!」
018ももんが「僕もブルーハワイ食べたかったよ……。」
019ななこ「えー、ももちゃん趣味悪ーい!あれって食べると口の中真っ青になるんだよー!」
020ももんが「そんな事言ったらチョコミントなんてまるで歯磨き粉食べてるみたいじゃないか!」
021ななこ「あっ、ももちゃん、今全国チョコミント愛好協会会員さんを敵に回したよ!」
022ももんが「ななこちゃんこそ全世界ブルーハワイ愛好連盟を敵に回すような発言してるよっ……って、そんな事言ってる場合じゃない。早く原因をつきとめて解決しないと」
023ななこ「そうだよねっ。アイスクリームのために調査開始だよっ」
024優子「あっ、魔法少女さん行っちゃった。やっぱり今回のこれ、事件なのかなぁ……あっ!」
025怪人「クククッ……これでこの街で労働をする者は居なくなった……」
026優子「見るからに怪しい人発見!もしかして皆働かなくなったのはあなたの仕業ですか!?」
027怪人「その通りだ!自己紹介しとこう!俺こそが怪人テラニート!」
028優子「や、やっぱり怪人さんだぁ!どうしてこんな事するの!?」
029怪人「問いを問いで返すようだが少女、君は働くのは好きか?」
030優子「え?えっと……よく分からない」
031怪人「君にも分かりやすくするとだな……学生の本分は勤勉だろ?君、勉強するのは好きか?」
032優子「うっ……それは、あまり好きじゃない、かも」
033怪人「だろ?俺が皆を労働から解放してやっているのだ」
034優子「労働から……解放??」
035怪人「そう、いずれは日本中を解放してやる!それこそが俺の全日本毎日が日曜日計画なのだ!」
036優子「毎日が……日曜日?」
037怪人「そうだ!毎日が日曜日!素敵じゃないか!」
038優子「確かに皆が働かなくていいのなら素敵な事かもしれない……」
039怪人「働いたら負けだと思っている!」
040優子「でも!それじゃ駄目だと思うの……誰も働かなかったらお店だって開かないから何も買えないし、食べ物を作る人もいないからご飯だって食べられないの」
041ブルー「その通りだ少女よ!」
042優子「その声は……!」
043ブルー「澄んだ青は勇気の印!特殊戦隊エフェクターブルー!ただいま参上!」
044優子「特撮さん!」
045ブルー「労働は国民の義務だ!自堕落で無気力な国家に未来は無い!俺はこの国を守るために戦う!」
046怪人「エフェクターブルー、聞いたことがあるぞ。誰に頼まれたわけでもなく街の平和を守っている物好きな男がいるとな!何がお前をそうさせるのだ!」
047ブルー「俺は平和が好きだ!だからお前のように平和を壊す奴が許せない、だから戦う!それだけだ!」
048怪人「俺の方こそ正義だ。人々を労働から解放してやっているのだからな!」
049ブルー「黙れ!人生の負け組め!国の生活保護を食い散らかしやがって!」
050怪人「労働者こそが負け組だ!つまり、今の俺は既にお前に勝っている!!!」
051ブルー「さっきから屁理屈ばかり言いやがって!成敗してやる!ブルーパーーーンチ!!!」
052怪人「自宅警備シールド!」
053ブルー「うおっ!こいつ、かてぇ……」
054怪人「ふっ……俺達にとって自室の扉は聖域への絶対防衛線、絶対に破れる事はない!」
055ブルー「ブルーレーザー!」
056怪人「無駄だと言っているのが分からんのか?核シェルター並みに固い自宅警備シールドが破れるはずがないだろう」
057ブルー「畜生、自分の殻にひきこもりやがって……!」
058怪人「今度はこっちの番だな!」
059ブルー「逃げてばっかりの負け組がやっと戦う気になったか!?」
060怪人「ふっ……俺が戦うと思ったか!逃げるのみだ!」
061ブルー「お、お前なぁ!待ちやがれー!」
062怪人「働きたくないでござる!戦いたくないでござる!……だがその前に!そこの少女もニートの洗礼を受けさせてやる!」
063優子「えっ!?わ、私……?」
064怪人「くらえ!必殺!ヘル・オー・ワーク!!!」
065優子「きゃああっ!?」
066ブルー「少女よ!危ない!うぐああああああ!!!」
067優子「と、特撮さーーーーーーん!!!」
068ななこ「うゆゆ!?向こうから助けを求める声が聞こえるよ!」
069ももんが「急ぐんだななこちゃん!」
070ななこ「ううっ……おなかがすいて力が出ないぃ……。」
071ももんが「仕方ないなぁ。僕のおやつのひまわりの種をあげよう」
072ななこ「ありがと。かりかり……。おなかがすいてると何でもおいしいね」
073ももんが「ぬな!?ひまわりの種はいつでもおいしいよ!」
074ななこ「いつも思うんだけど……何だかももちゃんとは食べ物の好みあまり合わないよね」
075ももんが「確かにそうだよねぇ。やっぱり育った環境が違うから……ってそんな事はいい。急ぐんだっ」
076ななこ「うんっ。確かこっちだったよね……うゆゆっ!?」
077優子「魔法少女さん!特撮さんが……特撮さんが私のせいで……!」
078ななこ「特撮さんがどうしたのかなぁ!?」
079ブルー「貴重な時間を労働に使うなんて馬鹿らしい。働いたら負けだね」
080ももんが「うわぁ……特撮ブルー、どうしちまったんだ……まるで別人だよ」
081優子「私のせいで特撮さんがこんな事に……。」
082怪人「俺の手にかかればこんなものだ!正義は我に在るのだからな!」
083ななこ「えっと……あなたが今回の黒幕?」
084怪人「そうだ!怪人テラニートとは俺の事だ!」
085ななこ「ねぇねぇ、ひとつ聞いていい?」
086怪人「何だ?」
087ななこ「おじさん……どうして働かないの?」
088怪人「うっ、それは……働いたら負けだからだ……」
089ななこ「でも、働かないとお金もらえないよね?もしも皆が働かなくなっちゃったらどうやって生活する気かなぁ?」
090怪人「そ。それは……」
091ななこ「もう一度聞くよ。おじさん……どうして働かないの?」
092怪人「うっ、うわああああああああああああ!!!」
093ももんが「すごい、ななこちゃん……魔法も使わずにニートを爆発させちゃった」
094ブルー「今回ばかりは俺も危なかったな」
095優子「特撮さん!正気に戻ったの!?」
096ももんが「今回はって……特撮ブルーはいつもいつも危ない気がするけどなぁ……。」
097ブルー「あの怪人は元々俺の友人でな、社会復帰させようと何度も試みたが駄目だった……。だけど無気力なあいつがこんな大それた事をやるとは思えないんだが……」
098ももんが「あの怪人はまじかるクリスタルを持っていた……その影響かもなぁ」
099ブルー「……あいつもある意味で、不況の被害者だったのかもな」