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七つの力編 二人のななこ

000N「ご町内の平和を守る魔法少女ななこ!

 ななこはまじかるおたまを媒介して七つの魔法を使う事が出来る。

 しかしそれらの力を開眼させるにはかなりの鍛練が必要とされる。

 果たしてななこは七つの力全てを使いこなす事が出来るのであろうか。

 頑張れ、魔法少女まじかるななこ!」

 

001ブルー「ふぅ……ようやく出前のバイトが終わった。今月はわりと平和だったからだいぶ稼げたんじゃないかな。悪の気配を感じたらバイト早退して戦わないといけないからな……。んっ!?誰だ!」

002N「ブルーはバイクにガソリンをいれて夕食を買って帰ろうと思っていたのだが、不意に後ろに何者かの気配を感じて振り返った」

003ブルー「何だ、魔法少女君か。君も俺と同じ正義の味方だ。しかし君くらいの子がこんな遅い時間に一人で出歩くのは感心しないな。さぁ、家まで送って行くよ。君の家はどこだい?……うわぁああああああ!?」

004N「そして、辺りには静寂だけが残った。それは誰もが家でくつろいでいるであろう夜中、人通りの少ない裏路地で起こった怪奇な出来事であった……。」

 

00tきらら魔法少女まじかるななこ 第6話『二人のななこ』

 

005N「翌朝。我らの魔法少女ななこは眠い目をこすりながら少し遅めの朝ごはんを作っていた」

006ななこ「ふぁぁ……やっぱり夜更かしは良くないなぁ。ももちゃん?そろそろ起きたら?」

007ももんが「やばいよ、まだ眠いよ、どうしよう。一日24時間じゃ足りないよ」

008ななこ「それは同感。だけどそろそろ起きて。新聞取って来て欲しいなぁ。それまでに朝ごはん用意しておくから」

009ももんが「は~~い……分かったぁ~……。」

010ななこ「大丈夫かなももちゃん……ドアに頭ぶつけたりしないかなぁ」

011ももんが「ぐげぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

012ななこ「うゆっ!?ももちゃんどうしたの!?やっぱり頭ぶつけたの!?」

013ももんが「ななこちゃん!こっ、こっ、これ……!」

014ななこ「今日の新聞がどうかしたの?……うゆゆっ!?」

015N「ももんがが差し出した新聞にはこう書かれていた。」

016ななこ「魔法少女ななこ、傷害罪で指名手配ーーーー!?なっ、何これーーーーー!」

017ももんが「昨夜未明、地区内の路地裏でアルバイトの男性(二十代)におたまで暴行を加え、全治一週間の怪我を負わせたとして、魔法少女ななこ容疑者(年齢不詳)を指名手配すると県警が発表した。被害者の男性は「ヘルメットがなければ即死だった」と語っており……。ななこちゃん、素直に罪を認めて自首した方が懲役が軽くなるよ」

018ななこ「私知らないよ!だってももちゃん、昨日の夜は一緒に『秋葉機兵ストランガー!』のDVD借りてきて観てたじゃん!全26話!夕方の5時から明け方の5時まで!」

019ももんが「確かにそうだよねぇ、そのせいで深刻な寝不足だよ。流石に2クールもあるアニメをぶっ続けで観るのは命知らずって事が分かったよね。だからななこちゃんにはアリバイがあるわけだ。という事は……。」

020ななこ「と、いう事は?」

021ももんが「ななこちゃんのニセモノが現れた、と考えた方が良さそうだ……。よーし!ななこちゃん、調査開始だ!……あ、朝ごはん食べてからね」

 

022N「ななこ達はしっかりと朝ごはんを食べてから調査活動を開始したのであるが……。」

023ななこ「ここが事件現場ね。ももちゃん!何か分かった!?」

024ももんが「いんや。被害者の遺留品らしいものがふたつ見つかっただけだよ」

025ななこ「どれどれ……。割れたバイザーの欠片と、銃を収めるホルスターだね。でもどうしてこれが被害者のものだって分かるの?」

026ももんが「被害者はおたまで殴られてるんでしょ?だったら銃なんて持ってるはずがないし、このバイザーだって殴られた時に割れて飛び散ったと考える事が出来るんだ」

027ななこ「さっすがももちゃん!さえてるー!」

028ももんが「頭脳労働は僕の専門だからね。もう一つ言うと、バイザーもホルスターも同じ色で揃えられている、つまりこれらの持ち主は同一人物、被害者のものに他ならないという事なんだ。この派手な青……持ち主も大体特定出来るけど、多くは語るまい」

029ななこ「なるほど。だけど真犯人に繋がるような手掛かりは無いんだよね。ももちゃん、この近くをもうちょっと探ってみるよ!」

030ももんが「おおぅ、ななこちゃん、いつになく燃えてるねー」

031ななこ「当然!魔法少女ななこは正義の味方なんだよ?それを騙って悪事を働くなんて許せないんだから!私、今……怒ってるよ」

 

032N「ななこ達は近隣の下町商店街で聞き込み調査を開始しようとした。しかし……。」

033ななこ「ここは色々なお店があるんだねぇ。よーし、片っ端から手がかりを聞いてまわるぞー!」

034店員「あ、いたいた。ちょっと困りますよお客さん」

035ななこ「うゆゆ?もしかして……私の事?」

036店員「そうですよ。さっきうちでからあげ弁当買って行ったじゃないですか。お金、忘れてますよ。早く払って下さい」

037ななこ「うゆゆっ!?私、からあげ弁当なんて高価なお弁当買った事ないよ!私、いつも一番安い海苔弁当しか買えないもん!」

038店員「何!?払わない気か!?」

039ななこ「だって多分それ私のニセモノの仕業、むぐぅ!?」

040ももんが「ななこちゃん、ここで言い争っててもらちがあかないよ。料金を踏み倒した、なんて噂されると魔法少女の信用に関わって来る。とりあえずお金を払って穏便に解決するんだ」

041ななこ「信用……それはまずいよねぇ。はい。……うう、私のおこづかいがぁ……。」

042ももんが「あとからニセモノに請求しよう。さぁ、調査を続けるよ」

 

043N「しかし、調査を続けて分かったのは、ニセななこは相当浪費家であろう事だけであった」

044ななこ「ええーっ!?ガソリン10リットルー!?……私のニセモノ、そんなの買ったんだぁ」

045店員「はい。つい先程。お支払いは現金になさいますか?カードになさいますか?」

046ななこ「うう……どうしよう。おこづかいもう無いよぅ……。あ、そうだ、お支払いはこのももんがで!この毛皮剥いだら二束三文くらいにはなると思うし」

047ももんが「いやぁー!やめてぇー!」

048店員「ご利用ありがとうございましたー」

 

049ななこ「おのれ私のニセモノ!ももちゃんのかたき、絶対にとってやるんだから!」

050N「ももんがを借金のカタにした自分自身を棚に上げて、ニセななこへの怒りを更に燃やすななこ。そんなななこの前に現れたのはゆうこであった」

051優子「えっ?えっ?あっ……あれ?魔法少女さん……?」

052ななこ「ゆうこちゃん!今、私見なかった!?」

053優子「見たけど……、魔法少女さん、今反対方向から出てきたよね……?」

054ななこ「私、どっちに行った!?」

055優子「あっちの工事現場に入っていったけど……。」

056ななこ「ありがとゆうこちゃん!」

057優子「……魔法少女さんが二人?私疲れてるのかな。帰って休もう……。」

 

058きらら「ふふっ……これで準備は整ったわ。今こそ私のななこを使って革命を起こす時が来たのよ!」

059ななこ「そうはさせないよ!」

060きらら「何者!?」

061ななこ「ご近所の平和を守る魔法少女ななこ、ただ今参上!」

062きらら「そう、あなたがななこなのね。オリジナルにお会いできて嬉しいわ」

063ななこ「……うゆゆ?どーいう事かなぁ?」

064きらら「私は革命少女きらら。現代の救世主であるあなたの力を借りたいの!私のななこと、オリジナルであるあなたが組めば怖いものなしだわ!ねぇ、いいでしょ?一緒に平和な世界を作るために戦いましょう!」

065ななこ「私、難しい事は良くわからないけど……ニセモノの私を使って悪事を働いたのは許さないよ!私がこらしめちゃうんだから!」

066きらら「悪事?大事の前の小事よ。大局を見極めないと世界は変えられないわ。あなたとはオリジナルの敬意を払って戦いたくなかったんだけど仕方ないわ。だけど、これを見たら意見も変わるかしら?さぁ、私のななこよ!出てきなさい!」

067N「革命少女きららがそう言うと、何者かが奥からゆっくりと出てきた。その姿は……。」

068メカななこ「ワタシナナコ、マホウショウジョ、ダヨ」

069ななこ「な、なにこれ……。」

070きらら「驚きのあまり声も出ないようね!これこそ私があなたのデータを参考に開発した革命ロボット・メカななこ!どう?あなたとそっくりでしょう?」

071ななこ「……皆、こんな夏休みの自由工作みたいなのと私の見分けもつかないの!?私、こんな変じゃないもん!」

072きらら「どこからどう見ても瓜二つよ!だけどオリジナルと戦えるなんて好都合。さぁ、メカななこ!データ採取のために戦いなさい!」

073メカななこ「ウユユ、ゴ近所ノ平和ヲ守ルヨ!」

074ななこ「ニセモノになんかまけないんだから!まじかるおたまっ!」

075メカななこ「マジカルオタマ!」

076ななこ「なっ……!このニセモノ、私と全く同じ動きをするよ!?」

077きらら「ほほう。運動能力はオリジナルとほぼ互角と……。我ながら私の科学力は素晴らしいわね」

078N「しばらくななことメカななこはおたまを打ち合ったが、全く同じ動きなので、いつまで経っても勝負がつかない」

079ななこ「はぁ……はぁ……。私の方が息切れして来ちゃった。なるほど、運動能力はほぼ互角ってのは分かったよ。だけど、いくら何でもこれは真似できないでしょ!ま~じ~か~る~あたーーーーーーっく!!!」

080メカななこ「マージーカールーレーザー!」

081ななこ「うゆゆゆゆっ!?……間一髪避けられた。当ったらただじゃ済まないよう。って、あのレーザーガン、もしかして……。」

082きらら「いくら私の科学力がすごくても魔法は再現できなかったわ。だけどその代わりとなる物を装備させる事に成功したわ。それがこのレーザーガンよ!」

083ななこ「うゆゆ?何かそれ見覚えが……ああっ!特撮さんのビームスプレーガンだぁ!」

084きらら「その通り!特撮ブルーのビームスプレーガンを改造したレーザーガン、名づけてマジカルレーザーよ!どう?本物の魔法以上の威力でしょ?さぁ、痛い目に遭わないうちに私の同志になりなさい!」

085ななこ「嫌だよっ。だけどレーザーは強いし、格闘戦に持ち込んでもまるで鏡のように同じ行動を取るし……鏡?」

086きらら「あくまでも私に逆らうつもりなのね。いいでしょう!メカななこ!もう一撃レーザー発射よ!あいつを倒してあなたが本物の魔法少女ななこになるのよ!」

087メカななこ「マージーカールーレーザー!」

088ななこ「いちかばちかやるしかないっ!まじかるミラーっ!!!」

089メカななこ「ウユユ!?」

090N「何と!ななこは空中に魔力の鏡を出してレーザーを跳ね返したのである!今ここに魔法少女ななこ、六つ目の魔法の力が目覚めたのである!」

091きらら「メカななこ!?メカななこが敗れるなんて……。理論上はオリジナルと同等以上の能力を持つというのに、どうして負けたの……?」

092ななこ「簡単だよ、ニセモノが本物に勝てるはずがないって事!」

093きらら「私、魔法少女であるあなたに憧れてたの。私も魔法少女になりたいな、って思ってた。だけど、私には魔法は使えない。だから科学の力でメカななこを作ったの。私だけの魔法少女ななこを……。」

094ななこ「いくら能力だけ真似ても、ニセモノはニセモノ。正義の心がないななこはななこじゃないよっ」

095きらら「そうだね……私、間違ってた」

096N「その時であった。一連の激闘の衝撃からか、上に積んであった資材がきらら目がけて落ちてきたのだ!」

097ななこ「あっ、あぶない!駄目っ、間に合わない!」

098きらら「えっ!?きゃあああああああ!!!」

099N「ななこの救援間に合わず、きららは資材の下敷きになった。と思われたのだが……。」

100きらら「あれ……私、生きてる……?あっ、メカななこ……?あなたが私を庇って助けてくれたの……?」

101メカななこ「ウユユユユ……。」

102ななこ「きららちゃん!資材が崩れちゃう!早くこっちに!」

103きらら「う、うん!」

104N「間一髪、資材の下から脱出するきらら。次の瞬間、資材は崩れてメカななこは潰されてしまった。」

105きらら「メカななこ……私のななこが……。」

106ななこ「きららちゃん。さっきの言葉、一つだけ訂正させてほしいなぁ」

107きらら「えっ……?」

108ななこ「私、メカななこはニセモノって言ったよね。だけど……メカななこには人を助ける正義の心があった。だから……あの子も本物の魔法少女ななこだよ」

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