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七つの力編 名も無き花のために

000N「ご町内の平和を守る魔法少女ななこ!

 ななこはまじかるおたまを媒介して七つの魔法を使う事が出来る。

 しかしそれらの力を開眼させるにはかなりの鍛練が必要とされる。

 果たしてななこは七つの力全てを使いこなす事が出来るのであろうか。

 頑張れ、魔法少女まじかるななこ!」

 

00tこのは魔法少女まじかるななこ 第5話『名も無き花のために』

 

001このは「よいしょっ、よいしょっと……できたっ!」

002優子「このはちゃん、おはよー!何やってるのー?」

003このは「おはよう、ゆうこちゃん。今、お花の種を植えてたの」

004優子「へー、何ていうお花?」

005このは「知らない」

006優子「えーっ」

007このは「でも、きっと奇麗なお花が咲くと思うよ。ここに咲いてる他のお花みたいに」

008優子「このはちゃんが頑張ってるからここの花壇もだいぶお花がたくさんになったよね」

009このは「ほら、このお花なんて可愛いよね。紫色で面白い形してるんだよ」

010優子「何だかニワトリのトサカみたいな形のお花だねぇ。……私は普通のお花の方がいいかなぁ」

011このは「でも最近この子達、元気が無いの。ほら、この子はここの葉っぱが枯れてる」

012優子「あっ、本当だ……でもどうして?」

013このは「よくわからないけど、空気が悪いのかも……。ここ、道路のすぐ側だし……こほっ、こほっ……。」

014優子「このはちゃん、大丈夫?」

015このは「うん……ただの喘息だから。すぐにおさまるよ」

016N「二人の前を自動車の群れが走り抜けていく。真っ黒な排気ガスを吐き出しながら……。」

017優子「この辺りももうちょっと空気が良くなったらいいのにねぇ」

018このは「そしたら……私の喘息も良くなるかな……?」

019N「花壇の中、紫色の花の根元が怪しい光を放った事に気付く者は居なかった……。」

 

020N「それからであった。この近郊で原因不明の交通事故が多発し始めたのは……。我らの魔法少女ななこはももんがを引き連れ、調査に繰り出したのであるが……。」

021ななこ「ももちゃーん、何か分かったー?」

022ももんが「うん。見通しもいいし、道路だってきちんと整備されている。分かった事はただひとつ、こんな条件の良い道路で事故なんて起こりっこないって事なんだ」

023ななこ「でも、実際に事故が何件も起こってるよね?」

024ももんが「うん。だからおかしいんだ。何か、別の理由があるに違いないよ……」

025N「などと、話していると向こうから颯爽と一台のバイクが走ってきた」

026ブルー「特殊戦隊エフェクターブルー!ただいま参上!」

027ももんが「あっ、特撮ブルー。君も事件の調査に来たんだね」

028ブルー「悪の気配を感じたものでな。正義の味方としては当然の事だ」

029ももんが「でも、正義の味方の乗り物として、原付バイクはどうかと思うんだ」

030ブルー「な、何だと!?世界一の実用バイク・スーパーカブ馬鹿にすんなよ!?食用油でも問題無く動くし、ビルの上から落ちても壊れずに普通に走るんだぞ!」

031ももんが「ふーん……。でも原付でしょ?スピードメーター60キロまでしかないし……。」

032ブルー「ぬな!?こいつはなぁ、本気を出せば実力以上の速度を出す事が出来るんだ!よし、今からそれを見せてやる!」

033ななこ「ももちゃん、どうして特撮さんをけしかけるような事言うのー?」

034ももんが「なぁに、今に分かるよ。ふっふっふ……。」

035ブルー「いくぞ!俺のスーパーカブ!最高速度だぁぁぁぁ!うおおおおおおおおお!!!」

036N「道路を全力で疾走するブルーのスーパーカブ。その時である。花壇の中から怪人が飛び出して来た!」

037怪人「必殺・フライングヘッドバーーーーーット!!!」

038ブルー「うおわぁあっ!?」

039ななこ「と、特撮さーーーーーん!?」

040ももんが「とうとう姿を現したな!こいつが交通事故を引き起こしてる張本人だよ!」

041怪人「その通り!俺こそが怪人トリカブト!」

042ななこ「怪人さん!悪い事をやめないとこの正義の魔法少女、まじかるななこがこらしめちゃうんだから!」

043怪人「悪い事……?違うな。俺は良い事をするために現われたのだ」

044ななこ「うゆゆ?どーいうことかなぁ?」

045怪人「分からんのか!?それで良く正義の魔法少女なんて名乗れたものだな。花壇を見てみろ!こいつらの病的な葉っぱの色を、不健康にしおれた花を、頭を垂れた茎を!」

046ななこ「ほ、本当だ。このお花達、元気がない……。」

047怪人「そうだ。この汚れた空気によるものだ。つまり、全てはこの道路を通る自動車共の排気ガスの仕業だ!空気を汚す諸悪の根源を滅ぼす事がどうして悪い事なのだ、正義の魔法少女とやら!」

048ななこ「うっ、そ、それは……。」

049怪人「どうだ、何も言い返せまい。つまり、我こそ正義!正義の怪人トリカブトだ!」

050ブルー「正義の怪人だ……?笑わせんな」

051怪人「ぬうう!生きていたか!」

052ももんが「特撮ブルー!派手に事故ってたけど無事だったか!もしかしてスタントマンのアルバイトでもしてたのかな?」

053ブルー「人々に危害を加える時点でそれは既に悪!俺は人々を守るために戦う!」

054怪人「自惚れるな!この世界は人間のためだけのものではないぞ!」

055ブルー「問答無用!成敗してやるぜ!」

056N「こうして、ブルー対怪人の激闘が始まったのであるが……。」

057怪人「どうした!それしか力がないのか!」

058ブルー「こいつ、俺の攻撃を受けても平然としてやがる!」

059ももんが「説明しよう!怪人トリカブトは植物由来の怪人である!そのためしなやかな動きでブルーの攻撃を受け流してしまうのである!ななこちゃん、ブルーが劣勢だよ。援護してあげようよ!……どうしたの?ななこちゃん」

060ななこ「……私、どうしたらいいか分からなくなってきた」

061ももんが「何言ってるんだよ!怪人だよ!?敵だよ!?交通事故を巻き起こす悪い怪人だよ!正義の魔法少女がやっつけないでどうするんだよっ」

062ななこ「確かに怪人さんのしているのはいけない事だけど……ただ怪人さんをこらしめても解決しない気がするの」

063怪人「くらえ!フライングヘッドバーーーット!!!」

064ブルー「ぐぁぁっ!?」

065怪人「さぁとどめだ!俺の根っこに流れている猛毒を心臓に流し込んでやる!」

066ブルー「くっ、ここまでか……。」

067ももんが「ななこちゃん!ブルーがやられちゃうよ!助けないと!ねぇななこちゃん!」

068ななこ「で、でも私……戦えないよ!怪人さんの言う事も分かるもん!」

069N「ブルー絶体絶命のピンチのその時であった。」

070このは「お願い!戦いをやめてっ!」

071ななこ「このはちゃん……?」

072このは「ここで誰かが戦ってるって聞いて急いで来てみたの。あなた、あの紫色のお花でしょ?私、毎日水をあげてたから分かるわ。近頃起きている交通事故もあなたの仕業?お願いだからもうそんなひどい事はやめて!」

073怪人「このは、何故だ!俺は空気を汚す悪い奴をやっつけているのに」

074このは「どんな理由があっても暴力では何も解決しないわ。だから、戦いをっ……こほっ、こほっ!」

075怪人「このは!?大丈夫か!……喘息の発作か!いつもより酷い!」

076このは「お願い……怪人さんっ……こほっ、戦いを……こほっ、こほっ!」

077怪人「このは、もう喋るな!このは!?しっかりしろこのは!……ちくしょう!空気がきれいになればこのはの喘息も治るというのに!」

078ブルー「君、大丈夫か!?呼吸困難を起こしている……このままじゃ命が危ない!」

079怪人「貴様!人間を守るために戦うと言ったな!このはは人間だがいい奴だ!俺のような毒を持つ花も、名も無き雑草のような花も分け隔てなく扱ってくれた!それを貴様らは……!少女一人救えずに何が正義だ!」

080ブルー「少女はお前を倒した後に救わせてもらう!いたいけな少女まで味方につけて悪事を働くお前が許せん!この一撃で決めてやる!」

081怪人「望む所だ!名も無き花の、そしてこのはの!空気を汚されて苦しめられている者達の怒りを受けてみろ!うおおおおおっ!」

082ブルー「レーザーブレード!エフェクターブルーフラーーーーーーッシュ!!!」

083怪人「ぐっ……見事だ……と言いたいところだが、俺を倒したところで無駄だ!貴様らが空気汚染を止めない限り、俺の意志を継ぐ第二第三の怪人が必ずや現われて貴様らを根絶やしに……ぐわぁぁぁっ!!!」

084N「怪人は倒れ、爆発して宙に散った。そしてブルーはこのはを連れて病院へと急ぐ。そして、我らの魔法少女ななこは花壇の前に立ちつくしていた……。」

085ももんが「ほほう。やっぱり花壇の中にマジカルクリスタルがあった。これの影響で植物が怪人化したんだよ、ななこちゃん。……ななこちゃん?どうしたんだ?今日はおかしいよ?」

086ななこ「……お花」

087ももんが「えっ?」

088ななこ「お花、みんな枯れかけてる。あの怪人さんが怒るのも分かる気がするんだ……。」

089ももんが「……ななこちゃん。まじかるおたまを花壇に向かって構えるんだ」

090ななこ「えっ?こう?」

091ももんが「うん。そして、まじかるあたっくの出力を反転させるイメージで魔法を出してみるんだ」

092ななこ「えっと、えっと……こうかな?えいっ!」

093N「その時、不思議な事が起こった。ななこの魔力に触れた花々が、みるみるうちに生気を取り戻していったのである」

094ももんが「やったぁ!成功だぁ!今のななこちゃんなら使えると思ったんだ!」

095ななこ「この力は……?」

096ももんが「説明しよう!魔法少女ななこは七つの魔法を使う事が出来る。そのうちの一つがマジカルヒーリング。癒しの力で傷や生命力を回復させる、優しさの魔法なのである!やったねななこちゃん!使える魔法が増えたよ!」

097N「今、ここに魔法少女ななこ、五つ目の魔法の力が目覚めたのである!」

098ブルー「おーい、魔法少女君!」

099ななこ「あっ、特撮さん。このはちゃんは!?」

100ブルー「その事なんだが。あの少女、何とか一命を取り留めたぞ。まだいつ発作が起きるか分からない状態だそうだから、楽観は出来ないがね……。」

101ももんが「良かったじゃないか、ななこちゃん」

102ななこ「……私、今回の事件はこれで解決したとは思わないなぁ」

103ももんが「えっ……?」

104ななこ「でも。この世界に生きる皆が平和を望んでいれば、いつの日か絶対に皆が仲良く平和に暮せる日が来るよね……きっと」

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