七つの力編 飛べ!魔法少女ななこ
000N「ご町内の平和を守る魔法少女ななこ!
ななこはまじかるおたまを媒介して七つの魔法を使う事が出来る。
しかしそれらの力を開眼させるにはかなりの鍛練が必要とされる。
果たしてななこは七つの力全てを使いこなす事が出来るのであろうか。
頑張れ、魔法少女まじかるななこ!」
00tまるる魔法少女まじかるななこ 第4話『飛べ!魔法少女ななこ』
001N「平和に見えるある日の事。突如、ご町内の空き地にUFOが着陸した。そして、そこから奇妙な風貌の少女が出てきた……。」
002まるる「ここが地球か……。実際に降りるのは初めてだけど随分と二酸化炭素が薄いのね。炭素ボンベを持って来なかったら炭欠になる所だったわ」
003ゆうこ「わ、わぁ……UFOだぁ……。」
004まるる「そこの地球人!」
005ゆうこ「えっ!?わ、私……?」
006まるる「そう、あんた。ちょっと私に解剖されなさい」
007ゆうこ「解剖!?どうして解剖されなきゃいけないの!?」
008まるる「いやぁ、今地球の生物の身体構造調べてて。白黒で四本足の生物の構造は分かったから、次は二本足の生物の身体構造調べようと思って」
009ゆうこ「きゃ、キャトルミューティレーション!?い、いやに決まってるよ!」
010まるる「ええい、つべこべ言わずに協力しなさい!ちょっと身体の中開いて血液抜くだけだから!」
011ゆうこ「いやぁー!キャトられるー!誰か助けてー!」
012ななこ「ちょっと待ったぁっ!」
013まるる「誰?」
014ななこ「ご近所の平和を守る魔法少女ななこ、ただ今参上!あなたはだぁれ!?」
015まるる「私は地球の新たな支配者・火星少女まるる!地球支配のために地球生物の構造を調べるのは当然の事!協力しなさい!」
016ももんが「ななこちゃん!あのエイリアン地球征服なんてめちゃくちゃな事言ってるよ!やっぱり宇宙人は獰猛な奴ばっかりだよ!」
017ななこ「宇宙の常識は地球の非常識ってね。火星人さん、地球は私達地球人のもの。誰にも渡さないんだからっ!」
018まるる「おかしいなぁ。五百年近く前、ふらんすの医者に伝言頼んでおいたのに。恐怖の大王が降ってきた後は、私達火星人が地球を支配しますよって」
019ももんが「フランスの医師……?恐怖の大王……?……ノストラダムスの大予言の事か!」
020ななこ「のすとらだむす……?何それー」
021ももんが「話題になったのはななこちゃんが生まれる前だったからねぇ。知らないのも無理ないか」
022ゆうこ「私、お父さんから聞いたことあるよ。人類は滅亡する、って騒いでたんだって」
023ももんが「さっすがゆうこちゃん、博識だね。説明しよう!ノストラダムスの大予言とは!16世紀、フランスの医師ノストラダムスが発表した不吉な言葉の事である!それによると1999年7月、空から恐怖の大王が降って来て、アンゴルモアの大王を復活させるらしいぞ!」
024ゆうこ「でも、それと火星人さんとどういう関係があるの?」
025ももんが「予言によるとアンゴルモアの大王の前後にマルスが地球を支配する、って書かれているんだ。マルスというのはローマ神話の神様で、火星を司るとされているんだ。まさか、予言にあったマルスが火星人の事だったとは……。」
026まるる「というわけで。この地球人はもらっていくよ!上手く解剖出来たら標本にしよっと♪」
027ゆうこ「ホルマリン漬けは嫌ぁぁぁぁぁ!」
028ななこ「待ちなさい火星人さん!そんな事許さないんだから!」
029まるる「邪魔をする気なのね。円盤生物オスプレイ!あいつらをやっつけちゃいなさい!」
030N「火星人が合図をすると、UFOから小型円盤が飛び出してきた」
031円盤「今夜はお前とオスプレイ!我こそは円盤生物オスプレイだ!」
032ももんが「げげっ!円盤が喋った!あの円盤は生物だったのか!」
033ななこ「空飛ぶ相手だなんて……ももちゃんどうしよう」
034ももんが「な、何か超近づきたくないけど……僕が相手してみるよ。必殺・どんぐりつぶて!」
035円盤「踏み込みが足りん!」
036ももんが「き、切り払われた!?」
037円盤「今度はこっちからいくぞ!3、2、1、発射ー!と見せかけて、すとーーーん!」
038ももんが「つ、墜落しやがった!こ、こっちくんな!ぎゃああああああああ!!!」
039ななこ「も、ももちゃん!大丈夫!?」
040ももんが「だ、だから僕は配備に反対したんだ……がくり」
041N「そんな事をしているうちに火星人のUFOは空へと消えて行った」
042ななこ「ゆうこちゃんが連れていかれちゃった!私が……空さえ飛べたらなぁ……。」
043ももんが「うう……酷い目に遭った」
044ななこ「ももちゃん!?大丈夫!?」
045ももんが「何とかね。運が良かったみたい。でもななこちゃん、今回ばかりはどうしようもないかもしれないよ。火星のテクノロジーがあんなに驚異的だなんて……。」
046ななこ「でもこのままじゃ地球が火星の植民地になっちゃうよ!」
047ももんが「だけど、空飛ぶエイリアン相手じゃ今のななこちゃんには勝ち目はないよ」
048ななこ「いくら絶望的な戦いでも諦めない。だって私は平和を守る魔法少女だから!」
049ももんが「な、ななこちゃん!?待つんだななこちゃーーーん!」
050ゆうこ「……と、いうわけで私は空飛ぶ円盤の中に監禁されているのでした」
051まるる「ねぇねぇ地球人、あの大きな鳥、何ていう名前なのー?」
052ゆうこ「あれは飛行機。地球のUFOみたいなものだよ」
053まるる「へー!あんな原始的なのが地球のUFOなんだー!よーし!地球土産としてもらっていこうっと♪」
054ゆうこ「な、何か滅茶苦茶な事言ってるー!」
055ななこ「そんな事はさせないよー!」
056ゆうこ「魔法少女さん!」
057まるる「いつの間にか後ろからぶっさいくなひこーきが!?どうしてレーダーに反応無かったんだろ」
058ゆうこ「飛行船!ガスが主成分の飛行船ならレーダーにも感知されにくい!さっすが魔法少女さん!」
059まるる「あの子しつこいなぁ。円盤生物オスプレイ!全機出動よ!」
060円盤「俺と」「お前で」「オスプレイ!」「俺達」「みんな」「オスプレイ!」
061ななこ「ふふっ……私が何の対空兵器も持たずに再戦を挑むと思ったら大間違いだよ!魔法少女ななこの大魔法!ま~じ~か~る~竹槍っ!」
062円盤「ぎゃぼぅ!!!」
063ゆうこ「す、すごい!円盤を一撃でやっつけちゃった!でもどうして竹槍なのー?」
064ななこ「おばあちゃんが言っていた。戦時中は竹槍でB-29を落とす訓練をしていたってね。ベトナム戦争じゃ竹槍でファントムを落したらしいし、竹槍は最強の対空兵器なんだよ!まだまだいくよー!ま~じ~か~る~竹槍乱舞!」
065円盤「ひでぶ!」「あべし!」「ぶべら!」
066ゆうこ「すっごーい!次々と円盤が撃墜されていくよ!」
067まるる「ぜ、全滅!?12機のオスプレイが全滅!?3分も経たずに……?地球人一人にオスプレイが12機も……?ば、化け物だわ」
068ななこ「どう?見た?魔法少女ななこのヤマトダマシイ!地球征服なんて諦めて火星に帰りなさい!」
069まるる「火星人の名誉にかけてそうはいかない!突撃よ!」
070N「火星人はななこの飛行船に直接UFOをぶつけてきた!炎上して落下する飛行船!」
071ななこ「うゆゆ!?直撃だぁ!ど、どうしよう!こんな事ならももちゃんの言う通りやめとけばよかったかなぁ……」
072N「魔法少女ななこ絶体絶命の危機!その時である」
073ももんが「ななこちゃん!これを使うんだ!」
074ななこ「こ、これは……魔法のほうき!?」
075ももんが「説明しよう!これは魔法少女の伝統、空飛ぶ箒・まじかるぶるーむである!僕が魔法世界ブレインヘブンの王女・幻想の君から預かってきた秘密アイテムなんだよ!」
076ななこ「ありがとうももちゃん!よーし!UFOに突撃ー!ま~じ~か~る~あたーーーーっく!!!」
077まるる「うわ!外壁が吹っ飛んだ!?」
078ななこ「さぁ、ゆうこちゃんを返してもらうよ!」
079まるる「返さないと言ったら?」
080ななこ「腕づくでも!」
081まるる「地球人が私と戦う気?面白い!かかってきなさい!」
082N「二人はがっしりと組み合った。そして……。」
083ななこ「ま~じ~か~る~腕相撲!!!」
084まるる「みぎゃっ!?こ、この子、ちっこいのに何て力なの!少なくとも私の3倍の力を持っている……!」
085ももんが「説明しよう!火星の重力は地球の三分の一しかない!そのため、火星人は地球人の三分の一の力しか持っていないんだ」
086ななこ「どう?まだやるつもり?それなら容赦しないよ!」
087まるる「私の負けよ……」
088ななこ「やったぁ!大勝利!ゆうこちゃんは返してもらうよ!ももちゃん、まじかるぶるーむでゆうこちゃんを地上に返してあげて!」
089ももんが「おっけー!それじゃゆうこちゃん、いくよ!」
090ゆうこ「ちょ、ちょっとこれ速すぎ……制限速度守ろうよぉぉーーー!」
091N「ゆうことももんがが脱出したその時であった。にわかにUFOが傾きだした。」
092ななこ「うゆゆ!?ど、どーしたのかなぁ?」
093まるる「動力回路がやられたのかもしれないわ……誰かが外壁にどでかい穴なんて開けちゃうもんだから!」
094ななこ「誰かがその前に飛行船に突撃かけたからじゃないかなぁ!」
095N「二人が言い争っていると、UFOは地上に向かって落下を始めた!」
096ななこ「うゆゆゆゆ!?今日の私、落ちてばっかり!」
097まるる「何て事……私がこんな異郷の地で死ぬ事になるなんて……。」
098ななこ「死なないよ」
099まるる「えっ……?」
100ななこ「死なないよ。あなたも、私も」
101まるる「こんな状況でどうやって助かるって言うの!?無理だよ!」
102ななこ「さっき飛行船から落ちかけた時に何かが見えた気がするんだ。私の手を握ってて。やってみるから」
103まるる「え?え?」
104ななこ「早く!」
105まるる「あ……うん」
106ななこ「いっくよーーー!まじかるぱわー全開ーーーーーーっ!」
107N「その頃、地上では……。」
108ゆうこ「あっ!UFOが墜落した……!」
109ももんが「ななこちゃん……。」
110N「その時、不思議な事が起こった。ゆうこ達の目の前に、UFOに居たはずの二人が現れたのであった。今ここに魔法少女ななこ、四つ目の魔法の力が目覚めたのである!」
111ななこ「ふぅ……成功してよかったぁ」
112ゆうこ「魔法少女さん!無事だったんだね!」
113まるる「こ、これは一体どういう事……!?」
114ももんが「説明しよう!魔法少女ななこは七つの魔法を使う事が出来る。そのうちの一つがマジカルテレポート。離れた距離を一瞬で移動する大魔法なのである!やったねななこちゃん!使える魔法が増えたよ!」
115まるる「テレポートだなんて……勝てるはずないわ、負けたわ地球人。……いえ、魔法少女ななこ」
116ゆうこ「あ、あれ?魔法少女さん?」
117ななこ「くー……くー……」
118ももんが「大丈夫、疲れて眠ってるだけさ。ただでさえマジカルテレポートは消費する魔力が桁外れに大きいのに、そこの火星人まで一緒に運んだからね。三日は眠ったままだろうねぇ」
119N「諸君、UFOを見かけてもむやみに近寄らない方が良いかもしれない。諸君が思っている程、宇宙人は我々に対して友好的ではないのかもしれないのだから……。」