七つの力編 黒い魔法少女
001N「魔法少女は必ずしも正義の味方ではない。中には黒魔術に従事し、魔性の道に堕落した魔法少女も存在する。そのような魔法少女の事をこう呼ぶ。魔道少女、と……。」
002ななこ「はぁ……はぁ……こっちに逃げ込んだと思ったんだけど……。」
(SE・笛の音)
003ななこ「笛の音……!?う、上だぁ!」
004七瀬「あなたが、魔法少女ななこね……。」
005ななこ「そうだけど……あなたはだぁれ!?」
006七瀬「私はななせ……魔道少女ななせ。この世界の秩序を統べる者」
007ななこ「うゆゆ!?秩序を乱しているのはあなたの方だよっ!この正義の魔法少女・まじかるななこが成敗しちゃうんだから!」
008七瀬「ま・じ・か・る・シューター!」
009ななこ「わわわぁぁ~~~~~っ!?」
010N「何と、少女はあの魔法少女ななこを一撃のもとに打ち倒してしまった!」
011七瀬「微妙に魔力反応があったけど……外れだったみたい……。無駄足だったわ」
012N「それは誰も知らない、真夜中の事であった……。」
00t七瀬魔法少女まじかるななこ 第3話『黒い魔法少女』
013ゆうこ「やっぱり駅前は賑やかだわ」
014N「本日、ゆうこは文房具を買うために駅前商店街まで来ていた」
015ゆうこ「文房具ならコンビニにでも売ってるんだけど……可愛いのが売って無いのよね。あっ、この消しゴム可愛い!このブローチも可愛い!買っちゃおうっと♪」
016N「……諸君、おこづかいの無駄遣いに御注意を。」
017ゆうこ「このぬいぐるみも可愛いなぁ。うわっ!?動いたっ!?」
018ももんが「僕はぬいぐるみじゃないよう……。」
019ゆうこ「あ、あなたは確か……。」
020ももんが「僕は魔法生物ももんが。魔法少女まじかるななこの使い魔さ!」
021ゆうこ「で、その魔法少女さんは?一緒じゃないの?」
022ももんが「いやぁ、昨日の夜からななこちゃんとはぐれちゃって。探してるんだけど居ないんだよ。ゆうこちゃん、知らない?」
023ゆうこ「知らないよ……。」
024ももんが「それよりゆうこちゃん、今日は一人でここまで来たの?」
025ゆうこ「うん。そうだけど」
026ももんが「ゆうこちゃんくらいの年の子がこんな盛り場に一人で来ると危ないと思うけどなぁ」
027ゆうこ「大丈夫。まだ昼間だし」
028ももんが「最近は日本の安全神話も段々と崩れて物騒になって来ている。気を付けるんだ。それに最近はこの街にも通り魔が出るようになっているし……。」
029ゆうこ「通り魔?」
030ももんが「うん。僕とななこちゃんは毎晩パトロールしてその通り魔を探しているんだけど……。」
031N「その時であった」
032ゆうこ「あっ、街の明かりがどんどんと消えていくよ!?広告灯もショーウインドウも、信号まで!」
033ももんが「こ、この気配!まさか昨夜の通り魔!?」
034ゆうこ「う、嘘でしょ!?どうして昼間に……」
035ももんが「まさか……いや、そんなまさか……。とにかくななこちゃんが居ないと勝ち目はない!逃げるよ!」
036ゆうこ「えっ?正義の味方が逃げるの?」
037ももんが「あ、それともゆうこちゃん、今からでも魔法少女になって戦ってくれるの?」
038ゆうこ「……逃げよっか」
039N「二人は、ももんがが感じる通り魔の気配とは反対方向へ逃げた。しかし……。」
040ゆうこ「だいぶ走ったわ……。ここまで遠くに来れば大丈夫じゃない?」
041ももんが「もう大丈夫だよ……と言いたいところだけど。その気配との距離が中々広がらないんだよ。むしろ、段々と近づいているような……。」
042七瀬「見つけた。魔法生物ももんが」
043ゆうこ「あ、あの子が通り魔なの!?見たところ私と同じくらいの女の子なんだけど……」
044ももんが「見かけに騙されちゃいけない!あいつは……魔道少女だ!」
045ゆうこ「魔道少女!?」
046ももんが「魔性の道に堕落した黒い魔法少女だよ!」
047七瀬「どうして魔法世界ブレインヘブンにしか居ない魔法生物がこんな所に……。まぁいいや。三枚下ろしにしてももんが三味線作っちゃおうっと♪」
048ももんが「な、何か物騒な事言ってる!ゆうこちゃん、逃げるよ!」
049ゆうこ「逃げるって、どこに!?」
050ももんが「少しでも遠くに!」
051N「ゆうことももんがは魔道少女とは反対方向に逃げだした。しかし……」
052ゆうこ「ここまでくれば大丈夫かしら……」
053七瀬「おかえりなさい」
054ももんが「魔道少女!?一体どうなってるんだ……!?」
055七瀬「無駄よ。この街は私のマジカルイリュージョンの中にあるの」
056ももんが「説明しよう!マジカルイリュージョンとは魔法の力で作り出す幻影の事である!その範囲内では全てが狂い、目標から遠ざかろうとしても逆に近づいてしまうという事が普通に起こってしまうのだ!」
057ゆうこ「解説はいいから……どうしたら抜けられるの?」
058ももんが「魔力の供給を断たなきゃいけないんだけど……もしかしてこの魔力の源って……。」
059七瀬「察しが良いね。その通り、この街の電力を変換して魔力として使っているわ」
060ももんが「やっぱりー!何が何でも逃げるしかない!」
061七瀬「逃がさない。クロ、あいつをつかまえて」
(SE・猫の鳴き声)
062ももんが「わあっ!?駄目だ!やられる……!?」
063ゆうこ「こんな時、あの魔法少女さんが居てくれたら……!」
064N「その時であった。救世主は現れた!」
065ブルー「悪党よ!待てい!」
066七瀬「誰?」
067ブルー「特殊戦隊エフェクターブルー!ただいま参上!!!」
068ももんが「特殊戦隊、だって?」
069ゆうこ「そんな事より、一人なのに戦隊なの……?」
070ブルー「そこ、地味に人が傷つく事を指摘しない!他に志願者が居なかったんだよっ」
071七瀬「それで……一人戦隊が何の用?」
072ブルー「昨今の非情な通り魔行為、許しがたし!神妙にお縄に付けい!」
073七瀬「嫌だと言ったら?」
074ブルー「ならば仕方が無い。必殺の特殊スプレーガンをくらえぃ!」
(SE・ガス銃)
075ゆうこ「な、何かすごい色のガスが銃から出てきた!?」
076ブルー「聞いて驚くな。こいつは科学の粋を結集して作った粒子麻酔だ。こいつにかかればどんな奴でもただちに活動を停止する」
077ももんが「何か格好いいぞ、特撮ブルー!」
078ブルー「俺はエフェクターブルーだ。サインなら後にしてくれ」
079七瀬「随分と余裕みたいね……」
080ブルー「うっ!?あれを受けて何ともないのか?」
081七瀬「魔法の前には科学など無力なものなの。次は私の番ね……マジカルシューター!」
(SE・魔法攻撃)
082ブルー「ちょ、うわっ、そんな非科学的なーーーーー!?」
083七瀬「えいっ。ももんがげっとー♪」
084ももんが「いやぁー!やめてぇー!」
085七瀬「さて。お遊びはここまでにして私の目的を果させてもらうわ」
086ゆうこ「あなたの目的って何なの?」
087七瀬「ねぇ、最近この街でおかしな事件ばかり起きていると思わない?」
088ゆうこ「そういえば……。この前は誘拐されそうになったし、あとニュースでキチガイが警棒持って人の家に押し入って来たって聞いたよ」
089七瀬「一連の事件の元凶は、全てコレなのよ」
090ゆうこ「わ、私のブローチがどうかしたの?」
091七瀬「これはただの宝石じゃないわ。魔力の結晶・マジカルクリスタルよ。これを使えば常識では考えられない力を手にする事が出来るのよ」
092ゆうこ「このブローチにそんな力が!?」
093七瀬「あなたには不要なもの。私が有効に使ってあげるわ」
094ゆうこ「だ、駄目!あなたに渡したらいけない気がする……!」
095七瀬「クロ!その子をつかまえて!」
(SE・猫の鳴き声)
096N「ゆうこ絶体絶命とおもわれたその時であった」
097ななこ「ま・じ・か・る・あたーーーーーーっく!!!」
098七瀬「きゃあっ!?な、何なの!?」
099ななこ「ご近所の平和を守る魔法少女まじかるななこ、ただ今参上!魔道少女ななせ!街の平和を乱すあなただけは絶対に許さないんだからっ!」
100ゆうこ「魔法少女さん!」
101ももんが「ななこちゃん!無事だったんだね!それよりもさっきの技!」
102ななこ「あの魔道少女の技を見よう見まねで試してみたんだけど、上手くいってよかったよぉ」
103N「今ここに、マジカルアイ、マジカルフォームに次ぐ、魔法少女ななこ三つ目の魔法の力が目覚めた!」
104ももんが「説明しよう!魔法少女ななこは七つの魔法を使う事が出来る。そのうちの一つがマジカルアタック。魔力を直接ぶつけるハイレベルな攻撃魔法なのである!やったねななこちゃん!使える魔法が増えたよ!」
105ななこ「さぁ!反撃開始だよ!必殺!まじかるあたーーーっく!!!」
106七瀬「マジカルシューター!……だ、駄目……私が敗れるなんて……!」
107ななこ「やったぁ!大勝利!」
108N「未成年の諸君、昼間と言えど一人で盛り場に遊びに行ってはいけない。もしかすると街中を往来する人々の中に、魔道少女が混じっているのかもしれないのだから……。」