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最終決戦編 折れた魔法のおたま

000ももんが「僕、魔法生物ももんが。ななこちゃんの相棒なんだ。

 とうとうななこちゃんの魔法少女としての最終決戦の時が来たんだよ。

 僕もようやく謎が解けてきたんだ。

 この戦いは誰が何のために引き起こしているのかってね。

 だけど、僕の予想通りだとすると……この世界が危ない……!」

 

001ももんが「……ここが配水塔かぁ。とうとう来たんだね僕達」

002ななこ「ここに全ての黒幕がいるんだね……!マジカルフォーム!いくよ、ももちゃん!」

 

00tよろず魔法少女まじかるななこ 第25話『折れた魔法のおたま』

 

003むささび「よく逃げずに来たな……ももんが。そして、魔法少女ななこ!その勇気を称えてあの方がお前達にお会いになるそうだ。死ぬ前にそのお姿、とくと目に焼き付けておけ!」

004松木「よく来たわね。ななこちゃん」

005ななこ「うゆゆ!?黒魔少女三人衆を操っていた本当の黒幕って……松木先生!?」

006ももんが「そ、そうか!盲点だった……!教師という立場から部下にする少女を選定していたのか……!」

007松木「その通り……黒魔少女三人衆のみららも、さややも、そしてななせも皆、かつての私の生徒達だったのよ……!この魔法生物むささびを使って魔法少女に仕立てあげてやったの。だけど、ななせの代わりに急遽仕立てたあきらは失敗だったわね……。」

008ももんが「自分の生徒に何て事を……!」

009ななこ「だけど、どうしてななせちゃんはそれに気付かなかったのかなぁ?」

010松木「それは、私も変身が出来るからよ。ななこちゃん、あなたと一緒でね」

011ももんが「あ、あの壊れて止まってる腕時計……!魔力を持っている!」

012松木「見せてあげる……まじかるフォーム!!!」

013よろず「超能力少女よろず。これが私の本当の姿よ!」

014ももんが「若返った!?どうなってるんだ……ま、まさかこれがこいつの魔法なのか!?」

015よろず「流石は魔法生物ももんが。あなたの洞察力に敬意を示して教えてあげる。私の魔法、まじかるクロックの力の一つよ。あの日から私の時間は止まっているの。このまじかるウオッチの針のようにね!」

016ななこ「松木先生……いえ、超能力少女よろず!あなたの目的は一体何なの!?」

017よろず「怪人を倒す、という意味ではあなたと同じよ、魔法少女ななこ」

018ななこ「違う……黒魔少女もあなたも、明らかに別の目的で動いてるように見えるよ!」

019よろず「そうね、私達の目的は、これよ」

020ななこ「それは……まじかるクリスタル!しかも大きい……!」

021よろず「魔法生物むささびの働きで、魔法世界ブレインヘブンからこのギガンティックまじかるクリスタルを運び出す事が出来た。だけどその過程に妨害を受けて砕けてしまった。この街に散らばった欠片を全て集めて完全なギガンティックまじかるクリスタルを手に入れる事こそが、私の目的よ」

022ももんが「まじかるクリスタルは魔力の塊。そんな膨大な魔力、一個人が持っていていいものじゃない!ブレインパレスに返すんだ!」

023よろず「返してもいいわよ。ただし条件があるけど」

024ももんが「な、何ぃ!?その条件とは……?」

025よろず「私とななこちゃんが勝負をする。そして勝った方がおたがいのまじかるクリスタルを手に入れるの。どうかしら?」

026むささび「ももんが、持ってるんだろ?今までその魔法少女が倒した怪人達からまきあげたまじかるクリスタルを。出せよ」

027ももんが「こ、これは……お前達に渡すわけにはいかない」

028ななこ「いいよ、ももちゃん。出して。要は私が超能力少女よろずを倒せばまじかるクリスタルは全部戻ってくるんでしょ?私、戦う。そして勝つよ!」

029ももんが「ななこちゃん……。」

030よろず「ななこちゃんの方がよほど物分かりがいいわね。……むささび、私のブレードを」

031むささび「どうぞ、まじかるブレードです」

032ももんが「ななこちゃん、大丈夫なの?」

033ななこ「だいじょーぶ!絶対にななせちゃんと特撮さんのかたきをとってやるんだから!」

034よろず「魔道少女ななせ、賢そうに見えたけど、愚かな子だったわね。私を裏切って牙をむくなんて」

035ななこ「ななせちゃんは、正義に目覚めたんだよっ」

036よろず「まぁいいわ。どちらが正義かはすぐに分かる事よ。はじめましょう……魔法少女ななこ!」

037ももんが「超能力少女よろずは全てにおいて最強の魔法少女だ!ななこちゃんの七つの力を全て生かさないと絶対に勝てないよっ」

038ななこ「わかったっ!まーじーかーるーアイっ!!!……分かったっ、超能力少女よろずの弱点は古傷のある右足!だけどっ!まじかるおたまっ!」

039よろず「なかなかの武器さばきね。だけど若いせいかパターンが単純だわね」

040ももんが「ななこちゃん、どうして右足を狙わないんだ!?」

041ななこ「そんな事しなくても私は勝ってみせるっ!まーじーかーるーあたーーっく!!!」

042よろず「まじかるストライク!!!」

043ななこ「ま、まじかるバリアー!……やぶられた!?うゆゆーっ!?」

044ももんが「な、ななこちゃん!」

045よろず「少々やりすぎたかしたね。ごめんね、加減が出来なくて」

046ななこ「まじかるヒーリング!私はまだまだ戦えるよっ!」

047よろず「あら。まだやる気なの?」

048ななこ「私最強の破壊力を持つ魔法はこれしかない……。私一人の力で出来るかどうか……だけどやるしかない!うゆゆーっ!まじかるおたま乱舞ー!」

049よろず「やけくそになって突っ込んできたの!?まじかるストライク!」

050ななこ「今だよっ!まじかるテレポート!!!」

051よろず「消えた!?……う、後ろ!?」

052ななこ「私の奥の手、外すわけにはいかないからね!まーじーかーるービーーーーム!!!」

053よろず「魔力を一点に集中させた!?だけど、私にも奥の手があるのよ!まじかるブレードストライク!!!」

054ななこ「ま、魔法剣でビームを跳ね返した!?うゆゆーーーーっ!?」

055ももんが「な、ななこちゃん!まじかるおたまが折れた……!な、ななこちゃんが敗れるなんて……。」

056よろず「勝負あったわね……。あなたもそんな所に隠れてないで出てきたらどう?……ゆうこちゃん」

057優子「……松木先生」

058ももんが「ゆうこちゃん!どうしてここに!?」

059優子「私、ももんがさんとななちゃんが二人で話してるのこっそり聞いちゃったの。今日最後の決戦に行くって……。ななちゃん、ひどいよね。私には何も言わずに行っちゃうんだもん」

060ももんが「そ、それは……」

061優子「ねぇ、ももんがさん。魔法少女は一人きりで戦わないといけない決まりでもあるの?そんなの……ひどすぎる」

062よろず「そうよね……一人きりで戦った結果がこれなんだからね。まじかるクリスタルは全部私のもの。クリスタルよ、今一度一つになりなさい!」

063ももんが「ああ……ギガンティックまじかるクリスタルが完全な形に……!超能力少女よろず、お前はこれを使って何をするつもりなんだ!?まさかコレクションというわけでもあるまい!?」

064よろず「私の悲願を成し遂げるためにはどうしてもギガンティックまじかるクリスタルが必要なのよ!」

065ももんが「悲願……!?一体何を企んでいるんだ!」

066よろず「そうね、ゆうこちゃん。あなたにだけは教えてあげてもいいわ。一緒に最上階にいらっしゃい。あなたは私と似ている。もしかしたらあなたにだけは私の気持ちが分かるかもしれない……。」

067優子「私……?」

068ももんが「待て!超能力少女よろず!ギガンティックまじかるクリスタルを返せ!ゆうこちゃんもそいつについていったら駄目だ!」

069むささび「おっと、ももんが。ここから先は通すわけにはいかないな。お前の相手はこの俺だ」

070ももんが「むささび……!お前という奴は……!」

 

071優子「ねぇ、松木先生……。今まで悪い魔法少女さんを操って、一体何をしようとしているの?」

072よろず「全てはまじかるクリスタルを集めるためだったのよ。当時の黒魔少女の一人、魔道少女ななせにこの街に探させた時にななこちゃんの存在に気付いたの……この子を泳がせておけば勝手に怪人を倒してまじかるクリスタルを集めてくれるってね。さやややみららに始末を任せたけどしくじってしまったようだから私が出てきたのよ」

073優子「まじかるクリスタルを集めるため……!?それだけのためにななちゃんを……!」

074よろず「大丈夫。ななこちゃんは死んではいないわ。ただし、魔法のおたまは折っといたからもう二度と変身する事も、魔法を使う事も出来ないわ」

075優子「そんな……。」

076よろず「ななこちゃんはよくやってくれたわ。だからもうこの辺で休ませてあげてもいいんじゃない?魔法少女の使命からも解放されて、戦いに傷つくこともなく、普通の女の子に戻るの」

077優子「それは……でも、その方がななちゃんには良いのかも」

078よろず「ゆうこちゃん、あなたならそう言ってくれると思ったわ。私のクラスの中で一番優しいあなたなら」

079優子「でも、まじかるクリスタルをあつめて、何をするの……?」

080よろず「ねぇ……ゆうこちゃん。あなたは早く大人になりたいと思う……?」

081優子「私も早く大人になってみたいなぁって思うけど……何でも出来て楽しそうだし。」

082よろず「あなた達子供が思っているよりもずっと大変よ?大人って。毎日毎日お仕事に追われて……働く事だけで疲れ果ててしまって今みたいに遊ぶ事も出来ないのよ?生きるために働くだけ……それが大人よ」

083優子「そ、そうなの……?」

084よろず「教師として大人の世界を生きて来た私が言うんだから間違いないわ。私もあなたみたいに大人ってもっと楽しいものだと思ってた。だけど違った。だから……私はずっと子供のままでいるために、まじかるクリスタルを集めたの」

085優子「ずっと子供のままでいるため……?時間はこの瞬間も動いてるんだよ?そんな事出来るの?」

086よろず「私のまじかるクロックは時間を操る魔法なの。ただし時間の流れる勢いは静かだけど物凄い勢いなの。その流れを変えるためには膨大なエネルギーを必要とするわ……」

087優子「それが、この巨大なまじかるクリスタル……!」

088よろず「その通りよ。私はギガンティックまじかるクリスタルの力でまじかるクロックを発動させてあの日に戻る……!」

089優子「どうしてそこまで過去に戻りたいの?まるで……過去に取り返しのつかない事をしたみたい……」

090よろず「よく分かったわね……一番の理由はあの子のためなの……。」

091優子「あの子……?」

092よろず「私があなたくらいの頃、私にもとても仲がいいお友達がいてね。ゆうこちゃんとななこちゃんみたいな、とても仲が良いお友達がね」

093優子「私と、ななちゃんみたいな?」

094よろず「あなたと私は似ていると言ったけど、もっと似ている事があるのよ。……私のお友達は、魔法少女だったの」

095優子「魔法少女……!?」

096よろず「あの子は人知れず街の平和を守っていた。ななこちゃんみたいに、一人で傷つきながらね。だけど、街にはびこる悪は少女一人の力ではどうする事も出来なかった。ねぇゆうこちゃん、魔法少女の戦うべき悪って何だと思う?」

097優子「ええと……怪人さん、とか?」

098よろず「そうね。だけど本当に悪いのは怪人じゃないわ。怪人の核はまじかるクリスタルなのは分かるわよね。私も実験でダークサイド、ポルターガイスト、ドッペルゲンガーの三体の怪人を作った時に分かったのだけれど……。まじかるクリスタルは悪意を吸って怪人へと変化するのよ……」

099優子「悪意を……という事はまさか……!」

100よろず「そう、本当に悪いのは怪人を作り出してしまう、人々の悪意に満ちた心なのよ!人々の心なんて、魔法少女一人の力じゃどうしようもない。そうでしょ!?」

101優子「うん……。」

102よろず「あの子の前に、人々の悪意が集合した怪人が現れたわ……あの子はその時巻き込まれた一人の男の子を守るために、そして人々の悪意を消すために最後の魔法を使ったの……。」

103優子「最後の魔法……?」

104よろず「その結果、あの子は全ての力を使いきって、この世界から消えてしまったの。……あの子が存在していた事実が、この世界から消えてしまったの」

105優子「そんな……。」

106よろず「あの子の魔法が人々の心を浄化したはずだった。だけどあの子のした事は無駄だった。今も人々の悪意が蔓延し、怪人を生み続けているのだからね!」

107優子「確かに、私はそんな怪人さんをたくさん見てきた……。」

108よろず「あの子を助けるためには過去に行かなければいけないの。あの子が人々の悪意に最後の戦いを挑む、あの日へと……!私はあの子を、友達をたすけたい。ゆうこちゃん、私のする事、間違ってると思う?」

109優子「それは……間違い、じゃない、と思う……。」

110よろず「あなたならそう言ってくれると思ったわ。魔法少女の親友で、いつもそばから戦いを見守っていた、あなたなら!あなたはあの日の私と同じよ。魔法が使えないから、あの子を助ける事も出来ずに見てるだけだったあの日の私と!」

111優子「見てるだけ……。私も、ななちゃんの戦いを見てるだけの足手まといだった」

112よろず「だけど今の私は違う!魔力を身につけて、あの子の力になれる!私の力なら、あの子を助ける事が出来る!さぁ、はじめましょうか……!」

113優子「まじかるクリスタルが光っている!?」

114よろず「時の流れよ、過ぎた時を戻したまえ。時の流れよ、過ぎた時を戻したまえ。全ては一人の少女のために……まじかるクロック!!!」

 

115ももんが「あ!あの光は……!」

116むささび「とうとうまじかるクロックが発動したか」

117ももんが「う、うわぁぁ!?空間が、この空間が乱れる……!?まさか、禁呪である時の魔法を使ったのでは……!」

118むささび「長かった……これで俺も過去へと渡れるのか。あの日へと……!」

119ももんが「な、何て事を……!今という時が、この世界が……壊れる……!!!」

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