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最終決戦編 降り止まぬ雨

000ももんが「僕、魔法生物ももんが。ななこちゃんの相棒なんだ。

 体育少女あきら、逆転少女さやや……。

 黒魔少女三人衆も残るところあと一人だよ。

 ななせのためにも黒魔少女三人衆の陰謀を打ち砕くんだっ。

 ……えっ?あの人が最後の黒魔少女?めちゃくちゃ強そうなんだけど……大丈夫かなぁ、ななこちゃん。」

 

001N「その日は朝から霧のような雨が降り注いでいた……。」

002ななこ「雨の日は嫌だなぁ。じめじめするー」

003ももんが「とは言ってもパトロールはしっかりしないと」

004ななこ「分かったよう」

005少女「魔法少女ななこ……」

006ななこ「あなたは脳内教の信者さん……!?」

007少女「そうね。正解って事にしておいてあげる。脳内教ももう少し使えると思ったんだけどね……まぁ、あの七瀬を葬っただけでもお手柄かしら」

008ななこ「あなたは一体……?」

009少女「今こそ私の正体を見せてあげる。まじかるフォーム!」

010みらら「黒魔少女三人衆の最後の一人にして最強の幻鏡少女みららとは私の事よ!」

011ななこ「あなたが黒魔少女最後の一人……!」

012みらら「あのお方の悲願の実現のために死んでもらうわ!魔法少女ななこ!」

013ななこ「そうはいかないんだから!まじかるフォーム!」

014ななこ「ご近所の平和を守る魔法少女ななこ、ただ今参上!ななせちゃんのかたき、取ってやるんだから!」

 

00tみらら魔法少女まじかるななこ 第23話『降り止まぬ雨』

 

015優子「雨、雨、雨……灰色の雲」

016ブルー「やぁ、少女よ。こんな天気は気が滅入るな!」

017優子「特撮さんは全然気が滅入ってるように見えないけど」

018ブルー「そんな事はないぞ。こんな日はパトロールもつい早めに切り上げてしまう……ところで、傘もささずに大丈夫か?」

019優子「……傘、下級生にあげちゃった」

020ブルー「そうか。少女よ君は偉いな。だがそれでは風邪をひいてしまうぞ。どうだろう、俺の家で服を乾かすといい。暖かい飲み物くらい出すぞ?」

021優子「特撮さんのお家……?」

 

022ななこ「うゆっ、うゆゆっ!ええいっ!」

023みらら「あら、怖い怖い。こうやって今までおたまで怪人達を力まかせに殴ってきたのね」

024ももんが「な、ななこちゃんが遊ばれてる……!?」

025ななこ「ど、どうして当らないの!?」

026みらら「分からない?あなたの動きが遅すぎるのよ」

027ななこ「そ、そんな……!それなら、こうだよ!」

028みらら「私の手をつかんで……ダンスでも踊りたいのかしら?」

029ななこ「逃げられないようにしたら……まーじーかーるーあたーーーーーっく!!!」

030みらら「私の動きを止めたら勝てるとでも思ったの?おあいにくさま。まじかるミラー」

031ななこ「うゆゆゆゆーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

032ももんが「な、ななこちゃーーーーーーーん!!!」

 

033ブルー「コーヒーでいいよな?砂糖とかは自分で好みで入れてくれ」

034優子「……特撮さんのお家、少しずつ片付いてきてるねぇ」

035ブルー「また怪人の巣にされたらたまったもんじゃないからな。片付けるように心がけているのだ」

036優子「そっかぁ。……特撮さん」

037ブルー「何だ?寒いのか?上着もう一枚貸そうか?それとも暖房がいいか?」

038優子「そうじゃなくて……ずっと気になってたんだけど、特撮さんってどうして正義の味方みたいな事してるの?」

039ブルー「みたいな事、じゃなくて、正義の味方そのものなんだけどな……まぁいい。暇つぶし程度に聞いてくれ……俺が正義の味方を志したきっかけとなった出来事を」

 

040ブルー「あれは、俺がちょうど君くらいの年齢の時の事だった」

041優子「特撮さんにも私くらいの頃ってあったんだー」

042ブルー「俺にだって子供の頃はあるさ。世の中の大人は皆、昔は子供だったんだぜ」

043優子「それはそうだけど……想像つかないなぁ、特撮さんの子供の頃なんて」

044ブルー「あはは。あと十年くらい経って大人になった時、君も子供達に同じ事言われると思うよ」

045優子「そうかなぁ。それで、お話の続きは?」

046ブルー「当時、俺にはとても気になる子がいたんだ……確かにいたんだ」

047優子「気になる子?どんな子だったの?」

048ブルー「いつも笑顔が絶えなくて、いるだけで周りを明るくしてくれる子だったな。当時、俺は他人に対して斜に構えたガキだったから、余計に彼女がまぶしく見えたんだ」

049優子「好きだったの……?その子の事」

050ブルー「好き、だったんだろうな。当時は気恥かしくて、絶対にそんな事言えなくて。遠まわしにからかったりしてたな」

051優子「男の子っていつもどうしてこうなんだろ……。」

052ブルー「だけど、ある日。俺は明るく振舞う彼女がすさまじい重圧と戦っている事に気づいてしまったんだ」

053優子「すさまじい……重圧?」

054ブルー「彼女は、魔法少女だった。魔法少女として人知れず人のために戦っていたんだ」

055優子「特撮さんが子供の頃にも魔法少女がいたんだ……!」

056ブルー「俺は、彼女の助けになりたいと思ったが、照れくささが先に立ってなかなか素直になれなかった。だけど彼女はそんな俺の胸の内を見透かしたかのような笑顔を見せたんだ……」

057優子「本当に見透かしてたのかもしれないよ。女の子って直感が鋭いんだから」

058ブルー「かもしれないな。だけど……ある日。俺はとんでもない過ちを犯してしまうんだ」

059優子「とんでもない……過ち?」

060ブルー「その日も彼女は戦っていた……が、その日の怪人はいつもとは違っていた。いつもより段違いに強かったんだ。彼女は怪人におされていた。俺は、加勢して彼女を助けようとした。だけど……」

061優子「だけど……?」

062ブルー「逆効果だった。逆に足手まといになり……彼女は最後の力を振り絞って俺を逃がしたんだ……」

063優子「その子、どうなったの……?」

064ブルー「翌日……彼女はこの世界から消えていた」

065優子「消えた?死んじゃったって事?」

066ブルー「違う。彼女という存在自体が、消えていたんだ。俺の他に彼女の事を覚えている者はいなかった。彼女が存在していたという事実が、全てこの世界から消えていたんだ」

067優子「ええっ!?そんな事があるの……!?」

068ブルー「俺自身彼女の名前も思い出せないし、まるで彼女がこの世界に最初から存在しなかったかのような感覚を覚えるけど……確かに彼女はこの世界に存在したんだ。……確かにいたんだ。ただひとつ、はっきり覚えている事は、笑った顔が君とどこか似ていた事。俺は……そんな彼女の笑顔が好きだったんだ」

069ブルー「あの時、本当は俺が彼女を守ってやるべきだったんだ。だけど、俺は彼女を守れなかった。だから誰かを守れるくらい、強くなりたかった。彼女のような不幸な子を増やさないために……。これが俺が正義の味方になった理由だよ」

 

070ももんが「特撮ブルー!助けてくれっ!」

071ブルー「小動物君、どうしたんだ?いつも一緒の魔法少女君は……?」

072ももんが「ななこちゃんが大変なんだ!このままじゃななこちゃんが殺されちゃう!」

073優子「ななちゃんが!?」

074ブルー「小動物君、すぐに案内したまえ!」

075優子「私も行く!私もななちゃんが心配だもん……」

076ブルー「駄目だ、君は待ってるんだ。そして服が乾いたら家に帰るといい。鍵は玄関先の植木鉢の下に置いといてくれたまえ」

077優子「でも……でもっ……もしもななちゃんが死んじゃったら……!」

078ブルー「大丈夫。魔法少女君は絶対に俺が助けて見せるから」

079ももんが「特撮ブルー!早く!」

080ブルー「うむ。……少女よ」

081優子「えっ……?」

082ブルー「晴れたら一緒にドライブでも行こうか。雨上がりの街は奇麗だぞー?上手くいけば虹が見れるかもしれない」

083優子「ふふっ……またあのスピードメーター60キロまでしかないバイクで……?」

084ブルー「やっと笑ったな。そうだ、君は笑顔が一番良く似合う。じゃあ、行ってくるよ」

085優子「特撮さん……」

086N「窓の外には霧のような雨がしとしとと降り続いていた……。」

 

087ななこ「くっ……ううっ……まさか自分のまじかるあたっくがこんなに痛いなんて」

088みらら「あら。まだ生きてたのね。すごいすごい。ご褒美にいい事教えてあげる。私のまじかるミラーは受けた攻撃を数倍の威力にして跳ね返すのよ」

089ななこ「数倍……!?そんなすごいまじかるミラーの使い手がいたなんて……!」

090みらら「あなたの使っていたものなんてまじかるミラーとは呼べないわ。私のものこそ、本当のまじかるミラーよ!」

091ななこ「直接攻撃はかわされちゃうし、魔法攻撃も跳ね返されちゃうし……もう私には打つ手がないよ……。ん?あれ?もしかしてこっちから攻撃しないと何も出来ないって事かなぁ?」

092みらら「甘いわね……私が他の魔法を使えないとでも思ってるのかしらね……まじかるミラージュ……!」

093N「幻鏡少女みららが魔法を唱えると、霧が辺りを覆い始めた……。」

094ななこ「うゆ!?うゆゆ!?な、何これ……!?霧で何も見えない……まじかるおたまで振り払ってやるー!ええいっ!」

095なな母「きゃっ!?」

096ななこ「あれ?あの子じゃない……。」

097なな母「こらっ、ななこっ。おたまを振りまわさないっ。それは料理に使うものだよっ」

098ななこ「こ、この声は……お母さん……!?」

099なな母「全くこの子は。自分の母親の声も忘れたの?」

100ななこ「お母さんだ!私のお母さんだ……!」

101なな母「こんなにボロボロになるまで遊んできたのね。疲れたでしょう。もう、お休みなさい」

102ななこ「うん。何だか眠たくなっちゃった……おやすみなさーい……」

103みらら「ふふ、ふふふふ……魔法少女ななこの最期だわ……!」

104N「降りしきる雨の中、絶体絶命のななこの目の前に何故母親が現われたのか!?幻鏡少女みららの不敵な笑みは一体何を意味するのか!?エフェクターブルーとももんがの救援は果たして間に合うであろうか!?」

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