最終決戦編 決闘!ななこ対ももんが
000ななこ「 こんにちは、私魔法少女ななこっ!
何と!悪の怪人さん達を操っていた黒幕がいるらしいんだよ。
その黒幕は魔法世界ブレインヘブンの魔法生物なんだって。
魔法生物と言ったら最近姿が見えないももちゃんなんだけど……
ねぇ……そんな、嘘だよね……?ももちゃん……。」
001ななこ「はぁはぁ……お、追いつかれたっ!」
002ももんが「ななこちゃん、覚悟してもらうよ!どんぐりつぶて!」
003ななこ「きゃあっ!?」
004さやや「まじかるリング!」
005ももんが「ちぃっ!はじかれたかっ!ここは一旦退却だっ!」
006ななこ「あ、ありがとうさややちゃん」
007さやや「油断大敵よななこ。今まで何を吹き込まれてきたかは知らないけど……あいつは悪魔よ!」
00t魔法少女まじかるななこ 第20話『決闘!ななこ対ももんが』
(SE・メトロノーム)
008ななこ「おじゃましまーす。さややちゃんのお部屋っていつ来ても片付いてるねー」
009さやや「お茶入れてくるからその辺に座ってて」
010ななこ「うん。あ、このメトロノーム可愛いねぇ」
011さやや「ピアニストになりたくて練習してたんだけど、私手が小さくて限界感じちゃって。はい、紅茶でいいわよね?」
012ななこ「わぁ、さややちゃんの手、可愛いー♪」
013さやや「指が長い方がピアニストとしては有利なのよ。って、聞いてる?」
014ななこ「わぁ、いいないいなー。ぷにぷにー。私ももうちょっと可愛い手だったらなぁ」
015さやや「……そろそろいいかしら?」
016ななこ「あ、ごめんね。うん」
017さやや「ええと、どこまで話したかしらね……。」
018ななこ「ももちゃんが魔法少女を使って何かを企んでいる、って事は聞いたけど……」
019さやや「あなたもあの魔法生物ももんがに魔法少女にされたんだってね」
020ななこ「うん、怪人さんが襲ってきて、ももちゃんが来て、……皆を守るために魔法少女になったんだよ」
021さやや「なるほど。なりゆき上、魔法少女にならざるをえなかったと……。ももんがのやりそうな事だわ」
022ななこ「どういう事かなぁ?」
023さやや「いい?ももんがは魔法少女達が倒した怪人のまじかるクリスタルを集めているわ。そして、まじかるクリスタルは怪人を作り出す事が出来る……。あなたを魔法少女にするために自分の思い通りに動く新たな怪人を作り出す事も可能なはずよ」
024ななこ「私が魔法少女になったのも、ももちゃんに仕組まれていたって事!?」
025さやや「その通りよ。あいつはそんな小細工を使って巧みに魔法少女への契約を持ちかけるの」
026ななこ「ももちゃんの狙いって、一体何なのかなぁ?」
027さやや「勿論、自分の思い通りに動く魔法少女を集める事よ。そして……己こそがこの世界の頂点に立とうとしているの!」
028ななこ「そ、そうだったんだ……!そんな事、許しておけないよ!」
029さやや「あなたみたいな被害者を随分見てきたわ。私はあなたみたいな子を守るために戦う、魔法生物退治の専門家なのよ!」
030ななこ「魔法生物退治の専門家……?」
031さやや「ななこちゃん、安心してね。私がいるからにはももんがに指一本だって触れさせないんだから!」
(SE・メトロノーム)
032N「その頃、魔法少女ななせはというと……学校のトイレの個室の中に閉じ込められていた」
033七瀬「私とした事が不覚を取ったわ……。私がまじかる雪隠詰めされるなんて……あいつめ、しばらく見ないうちに腕をあげたわね。どうやって脱出しようかしらね。まじかる……キック!」
034七瀬「……魔法は駄目か。まじかるコーティングされてるみたい。どちらにしろ中からは開けられないようになっているようね。となれば、あとは……。」
035ブルー「ふっふっふーん♪今日も今日とて便所掃除なのだー」
036七瀬「あっ、ちょうどいい所に!そこの青いの!私をここから出しなさい!閉じ込められてるのっ!」
037ブルー「おばあちゃんが言っていた、便所はいつも奇麗にしておきなさい、とな!いざ、便所掃除!!!」
038七瀬「あのー、もしもしー?私、こっちに閉じ込められてるんだけどー?」
039ブルー「ふぅぅ……洗剤が無くなったから今日はこれくらいにしておくか。今日もいい仕事したなぁ」
040七瀬「……何て事。最近のまじかるコーティングは防音仕様になってるのね。何とかして出ないとこのままじゃ三面記事のお笑い者だわっ」
041さやや「対ももんが用のトラップを仕掛けたわ。これでかかった所を一網打尽よ」
042ななこ「ええと、さややちゃん。この罠について説明して欲しいなぁ」
043さやや「いい?ももんががあの餌のひまわりの種を食べようとして来たら、この紐を引っ張るの。そしたらあの棒が倒れてあのザルの中にももんがが閉じ込められるの。分かった?」
044ななこ「う、うん。分かった……」
045さやや「私ってばこんな高度なトラップ仕掛けられちゃうんだもん。自分の才能が怖いなぁ!早くももんが引っかからないかなぁ♪」
046ななこ「……大丈夫かなぁ」
047ももんが「おっ、こんなところにひまわりの種が……もっしゃもっしゃ。うわっ!?」
048さやや「あーっはっはっはっはっは!ももんがめ、とうとう私の天才的なトラップに引っ掛かったわね!さぁ、覚悟しなさい!」
049ももんが「し、しまった!」
050ななこ「……仕掛ける方もかかる方もどうかしてると思うけどなぁ」
051ももんが「こうなったら……えいっ!」
052さやや「きゃあ!?ももんがにこのザルを投げ飛ばす力があったとはぁ!?」
053ももんが「こんな所で使いたくなかったけど仕方がない……。幻想の君から預かって来た秘密アイテム・アブソリュートフレイムだっ!!!」
054さやや「きゃああっ!?」
055ななこ「さややちゃん!?もう許せない!変身してやっつけてやるっ!マジカルフォーム!」
056ななこ「ご近所の平和を守る魔法少女ななこ、ただ今参上!いくら長い間一緒に戦ってきた仲と言っても許せないんだからっ!覚悟しなさいっ!」
057ももんが「ななこちゃん、今日こそ君を僕のどんぐりつぶてで仕留めてみせる!」
058N「こうして、魔法少女ななこ対魔法生物ももんがの決闘が始まったのである!」
059七瀬「私はいつまでここにいないといけないのかしらねぇ」
060優子「ふぁぁ……ようやく今日の授業終わったよー」
061七瀬「あの声は……ゆうこ!何とかして私がここに閉じ込められてるって知らせないと!でもどうやって……そうだ!クロ……クロ、私の元へ来なさい!」
(SE・猫の鳴き声)
062優子「あら、窓から黒猫さんが入ってきたよ」
(SE・猫の鳴き声)
063優子「猫さんもおトイレ使うの?何、ここがいいのー?えいっ」
064七瀬「ふぅっ……助かったわ。こうしてはいられないわ!急がないと!」
065優子「境さん、おトイレに閉じこもって何してたんだろ……。」
066ももんが「どんぐりつぶて!」
067ななこ「まじかるバリアー!」
068ももんが「やはり、危険だがこれを使わなければいけないのか……アブソリュートフレイム!」
069ななこ「そっちがその気ならこっちだって!まじかるあたーーーーーっく!!!」
070七瀬「やめなさい!二人とも!」
071ももんが「ななせ!」
072ななこ「ななせちゃん!」
073七瀬「どうしてあなた達が戦わないといけないの……!?おかしいって事に気付きなさい!」
074ななこ「だけどももちゃんは怪人を操っている黒幕なんだよ!?いくら一緒に戦ってきた仲間っていっても許してはおけないよっ!」
075ももんが「ななせ、今のななこちゃんに何を言っても無駄だよ。力づくでも叩き伏せて分からせないと」
076七瀬「ななこ……あなたは本当にももんがが黒幕だなんて思っているの?」
077ななこ「私が魔法少女になるように仕向けたのも、あきちゃんを魔法少女にしたのも、ももちゃんなんだよ?黒幕じゃなくて何だっていうの?」
078七瀬「そうじゃなくて!どうして頭だけで考えるの!あなたらしくもない!」
079ななこ「私らしく……ない?」
080七瀬「理屈なんてどうでもいいの。あなたは本当に、魔法生物ももんがが、怪人達を操っている黒幕だなんて思ってるの?今まで一緒に戦ってきたあの日々が全部嘘だったなんて、本気で考えているの!?」
081ななこ「それは、そんな事はないと、考えたい、けど……。」
082七瀬「ならば考えなさい!信じなさい!ももんがを!あなたの仲間を!」
083ななこ「私は……ももちゃんを……信じる!」
084さやや「あっ、いけない!ななこの思考テンポがまじかるメトロノームのテンポから外れたっ!……よくもやってくれたわねっ。魔道少女ななせ!」
085七瀬「久しぶりね……逆転少女さやや。相変わらずこざかしい真似をしてくれるわね」
086ななこ「ななせちゃん、さややちゃんと知り合いなの?」
087七瀬「知ってるも何も……かつて私はこいつの仲間だったの」
088ななこ「ええっ!?」
089さやや「随分懐かしい話ね。私とななせ、そしてみららの三人で黒魔少女三人衆を名乗り、あの方に仕えていた頃が随分昔のように思えてくるわね……。」
090七瀬「私は、あの頃とは違う」
091さやや「私とやるっての?面白い。またまじかる雪隠詰めにされたいようね」
092ななこ「待って。逆転少女さやや。あなたの相手はこの私だよっ!」
093さやや「魔法少女ななこ……いい事教えてあげる。私のまじかるメトロノームは全てを逆転させる事が出来るの。喜びと悲しみ、信頼と不信、敵と味方……。」
094ななこ「それで私とももちゃんの信頼関係を壊したんだね!許せない!」
095さやや「だけどね。私だって完全な信頼関係をひっくり返す事なんて出来ない。ひっくり返せたって事は、元々少しは不信感を抱いていたって事に他ならないのよ」
096ななこ「確かに私は……あきちゃんの事で、少しだけももちゃんを疑った。だけど、もう疑わないっ。私はももちゃんを信じるよっ!」
097さやや「試してみる?このまじかるメトロノームで。あなた達が完全な信頼関係を持っていたらもう二度と私の催眠にはかからないはずよ。それとも怖い?信頼関係を試されるのが」
098ななこ「……の、のぞむところだよっ」
099さやや「いい覚悟だわ。だけどよく考えてみれば怖いわよね。気付かないうちに全ての関係が逆転していたとしたら……まるで上下の分からないこのまじかるリングのように……。」
100ももんが「今だっ!いがぐりつぶてにアブソリュートフレイム!名づけて!火中のいがぐり大爆裂!!!」
101さやや「きゃああああああ!?」
(SE・大爆発)
102ももんが「やったぁ!大勝利!」
103ななこ「さっすがももちゃん!やる時はやるねぇ!」
104さやや「くっ……くやしいけど私の負けね。あなた達のコンビネーションは完全だった……。おとなしく引きさがるわ。それと、ななこ」
105ななこ「うゆ?」
106さやや「……あなたとは違う形で出会いたかったわ。私の手を可愛いだなんて言ってくれたのはあなたが初めてよ……じゃあね」
107ななこ「さややちゃん……?」
108七瀬「あの子、本当はあなたに仲間になって欲しかったのよ。催眠なんて誤った手段を選んでしまったけれどね。本当はさびしがりなのよ……さややって」
109ももんが「いやぁ間一髪だったね。僕が気つけどんぐり投げてあいつの催眠解こうとしたらななこちゃん逃げちゃうし。ななせ、まさか君に助けられるとは思わなかったよ」
110ななこ「そーだねぇ。ななせちゃん、ありがとー!」
111七瀬「お礼を言うのは私の方よ。ななこ、私はあなたを見て人間にも良い人が居るって事……人を信じる事を教えられたの。あなたに会わなければ、私もきっと、さややみたいになってたと思う……。」
112ももんが「だけど、気になるのはあきらちゃんを魔法少女にした魔法生物の事だよね。もしかしたら、あいつが目覚めたのかもしれない……!」