学園編 暗い夜道に御用心!
000ななこ「こんにちは、私ななこ!
どこにでもいるような普通の小学生……なんだけど。
ほんとはね、七つの魔法の力で、
ご町内の平和を守る魔法少女なんだよっ。
だけど、その事は学校のお友達には内緒なのっ」
001松木「というわけで、最近は物騒になっています。みなさん、暗くなる前に帰りましょう。また、二人以上で帰るようにしましょう。分かりましたねー?」
002あきら・優子「はーい」
003ななこ「その日の夜から、松木先生は行方不明になったの」
00t七瀬魔法少女まじかるななこ 第17話『暗い夜道に御用心!』
004優子「松木先生、どうしちゃったんだろ……」
005あきら「大人の事情ってやつだよ、うんうん」
006優子「あきちゃん、それ、意味分かって言ってる?」
007あきら「いや?全然。……だけど、心配だな。よし、ゆっこ。放課後、あたし達でまっきー先生の捜索するぞっ」
008優子「私達だけじゃ危ないと思うよ。そういうのって警察に任せた方がいいと思う。ねぇ、ななちゃん……って居ない!?」
009あきら「ななこならさっき教室出て行ったぞ。やっぱり先生の事が気になるんだってさ。あたし達も調査するぞー!」
010優子「ま、待ってよあきちゃん……大丈夫かなぁ……?」
011ななこ「ななせちゃん、今回の事件どう思うかなぁ?」
012七瀬「そうね。十中八九怪人の仕業でしょうね」
013ななこ「やっぱりそう思うよねぇ。やっぱり、黒幕の手下なのかなぁ?」
014七瀬「この学校をターゲットにしてるみたいだからきっとそうでしょうね」
015ななこ「ななせちゃん、一緒に怪人さんをこらしめて松木先生を助けようよ!」
016七瀬「どうして私があなたと一緒に戦わないといけないの?」
017ななこ「だ、だって同じ魔法少女だし、協力した方がいいと思うんだぁ」
018七瀬「私とあなたでは目的が違うわ。協力しようがないじゃない」
019ななこ「そんな事ないよっ。私はご町内の平和を守るために戦ってるけど、ななせちゃんは世界の秩序を守るために戦ってるんでしょ?同じよーなものだよっ」
020七瀬「全然違うわ。世界の秩序を統べるのは最終目標。この学園での私の目的は……黒幕が持っているまじかるクリスタルを回収する事よ」
021ななこ「まじかるクリスタル??それ、何なのかなぁ?黒幕と何の関係があるのかなぁ?」
022七瀬「……あなた、そんな事も知らずに今まで魔法少女やってきたの?あの魔法生物は何も教えなかったの?」
023ななこ「え?え?そういえばももちゃん最初の頃に何か言ってた気がするけど難しくて……。そんな基本的な事なのかなぁこれ」
024七瀬「……まじかるクリスタルは怪人の心臓部とも言えるわ。だからこそ怪人を作り出す黒幕の手元にはまじかるクリスタルが大量にあると考えられる。あとは自分で考えなさい」
025優子「うわぁ……暗くなってきたぁ。あきちゃん、やっぱりやめない?……って、あきちゃん!?どこ行ったの!?」
026ブルー「ぬっ、少女よ。この時間の一人歩きは危険だぞ」
027優子「あっ、特撮さん。さっきまでは一人じゃなかったんだけど……お友達とはぐれちゃって……。」
028ブルー「そうか。だが君は早く帰った方がいい。昨日、この辺りで一人の女性が消えたそうだ」
029優子「もしかしてそれって松木先生……」
030ブルー「知り合いなのか。それならなおさら帰った方がいい。何だか今日も嫌な予感がするのだ」
031優子「嫌な予感……?」
032怪人「特殊戦隊エフェクターブルー!直感の鋭さだけは流石だな!」
033ブルー「どこだ!?何者だ!?名を名乗れ!」
034怪人「我こそは怪人ダークサイド。俺ならお前達の足元にいるぞ!」
035ブルー「な、何だと!?」
036優子「もしかしてこの怪人さん、この影なんじゃ……。」
037ブルー「影のような怪人とは恐れ入ったな!これでもくらえ!ブルーレーザー!」
038怪人「ふはははは!効かんな!」
039ブルー「ぬうっ!?これならどうだ!ブルーパンチ!!!」
040怪人「我は影なり。影に攻撃など効くはずがなかろう!」
041ブルー「な、何だと……!どうすれば……。あっ、影だったら逆にこちらにも攻撃出来ないんじゃないか?」
042怪人「それはどうかな?ダークストライク!」
043ブルー「うおお!?影が飛んできた!?一体どーなってるんだ!?」
044怪人「分かるはずがないんだよ!俺は今までの雑魚怪人とは違う。あのお方が作り上げた最強の怪人三人衆の一人なのだからな!」
045ブルー「あのお方?怪人三人衆?いよいよ黒幕が見えてきたな!」
046怪人「しかし、お前らはあのお方を拝む事なくここで死ぬのだ!」
047ブルー「ふっ……それはどうかな?」
048優子「特撮さん、大丈夫なの?」
049ブルー「大丈夫だ。必勝の策がある。少女よ、これを持ってくれないか」
050優子「何これ」
051ブルー「レーザーブレードの柄だ。出力を調整してあるからライトモードになっている。俺が合図をしたらそれを後ろ手に点灯させながら安全なところまで走るんだ、いいね?」
052優子「えっ?でも……。」
053怪人「何を企んでいるのか知らんが二人とも逃がさんぞ!」
054ブルー「うおおっ!ブルーレーザーガンブレードっ!!!」
055怪人「な、何だと!?ガンをレーザーブレードに!?」
056ブルー「今だ、少女!走れ!」
057優子「う、うん!」
058怪人「ブルーに気を取られて……少女を逃がしたか。ライトで影の追撃を逃れるとは考えたな……。まぁいい。エフェクターブルー!必勝の策とやらを見せてもらおうか!」
059ブルー「無いさ、そんなもの。少女を避難させるための口実さ」
060怪人「何だと!?ふざけおって!これで葬ってくれるわ!ダークフォール!」
061ブルー「うわあっ!?影が、張り付いて……沈められ……!」
062怪人「あっけないものだな、エフェクターブルーよ!次はあの魔法少女ななこと裏切り者の魔道少女ななせを血祭りにあげてくれるわ!」
063ななこ「うゆゆぅ……くらーい道って何か嫌だなぁ。結構前にこんな道をパトロールしてたら怖い目にあったよーな、そんな気がするなぁ。ゆっこちゃーん?あきちゃーん?」
064優子「あっ、ななちゃん!」
065ななこ「ゆっこちゃん、大丈夫だった?あきちゃんは!?」
066優子「それがはぐれちゃって……。それでね、向こうで特撮さんが怪人さんと戦ってるの!」
067ななこ「ええっ!?特撮さんが!」
068優子「ななちゃん、どこいくの!?危ないよっ」
069ななこ「ええっと、あきちゃん探して来る!」
070ななこ「特撮さんが危ない!まじかるフォームっ!!!」
071ななこ「ご近所の平和を守る魔法少女ななこ、ただ今参上!……って誰もいないなぁ」
072怪人「どこに目をつけている。俺はここだよ……ここ……」
073ななこ「ど、どこ!?どこにいるのかなぁ」
074怪人「お前の……足の下だぁぁっ!!!」
075ななこ「うゆゆゆゆゆゆーーーっ!?」
076怪人「つかまえたぞ魔法少女ななこ!ダークフォール!」
077ななこ「うゆっ!?身体が影に沈んていくよ!?だ、だ、だめだぁっ……助け……」
078怪人「勝ったッ!学園編完!とうとうあの魔法少女ななこを打ち倒したぞ!君のビビりまくった無様な最期は尿漏れ魔法少女として後世に広く語り継いでやろう!……ん?」
079七瀬「まじかるフォーム!っと、確かこの辺で行方不明事件が多発してるそうね……。」
080怪人「飛んで火に入る夏の虫とはお前の事だ!裏切り者の魔道少女ななせ!すかした態度のお前もこの俺が存分にビビらせて尿漏れ魔道少女として葬ってやるわ!」
081七瀬「まぁ……どんな怪人だろうが私の敵ではないけれどね」
082怪人「慢心こそがお前の最大の弱点だ、魔道少女ななせ!」
083七瀬「ひゃっ!?な、何これっ!?」
084怪人「あの方は言っていた、裏切り者は出来るだけ無残に処刑しろとなぁ!俺最大の惨酷技で貴様を斬首刑にしてやる!ダークギロチン!!!」
085七瀬「きゃあああっ!?」
086怪人「これであの方の計画を邪魔する者はいなくなった……。しばらくはレンタル屋でDVDでも借りて観てゆっくりするかな」
087七瀬「ゆっくりしていってね!!!」
088怪人「ひいいいい!?な、生首が喋ったぁぁぁ!!!」
089七瀬「やれやれ……こうまで奇麗に引っ掛かってくれると滑稽で笑えてくるわね。もう一度それをよく見てごらんなさい」
090怪人「あっ!ああ!これはななせじゃなくて……マネキン!?どうなっているんだ!?」
091七瀬「仕方ないから説明してあげる。魔法少女ななせは七つの魔法を使う事が出来るの。そのうちの一つがまじかるイリュージョン。魔力で幻影を作り出す事が出来るの。あんたは見事にそれに引っ掛かったのよ」
092怪人「これが噂に聞いてたまじかるイリュージョンか!ほ、本物のななせはどこだ!?どこにいるんだ!?」
093七瀬「あんたの真後ろ」
094怪人「ひぇええええ!?全く気付かなかったあああ!」
095七瀬「もう一つだけ説明してあげる。これは七つの魔法のうちの一つ、まじかるステルス。完全に気配を消す事が出来るの。私の七つの魔法の半分はあまりにも強すぎるから禁呪にしてるんだけど、このまじかるステルスもそのひとつ。だけど……あんたみたいな卑劣な奴には使ってやる事にしたの」
096怪人「だから我々のデータベースにはななせの魔法は三つしか載って無かったのか!」
097七瀬「そう……それなら私が今から使う魔法が何か分かるわよね?まーじーかーるーシューターーーー!!!」
098怪人「ぐぎゃあああああああ!!!」
099七瀬「私のイリュージョンにビビりまくってたあんたの事、尿漏れ怪人として後世に語り継いであげるわ……気が向いたらね」
100ブルー「ぬうっ……不覚を取ったな」
101ななこ「わ、私は一体……?」
102七瀬「二人ともあの怪人のダークゾーンに囚われてたのよ。私があいつを倒したから解放されたってわけ。あいつ、影そのものじゃなくて、影みたいに平べったいゲル状の怪人だったのよ」
103ななこ「そっかぁ。ななせちゃん、ありがとー!」
104七瀬「わ、私は別にあなたを助けたわけじゃないわ。怪人が持ってるこのまじかるクリスタルを集めたかっただけなんだからねっ。……それよりあなた、びびって漏らしたって本当?」
105ななこ「うゆゆっ!?そんなわけないじゃん!」
106七瀬「……本当かしらね」
107ななこ「それより松木先生とあきちゃんはどこかなぁ?」
108あきら「おーい!先生見つけたぞー!」
109ななこ「ええっ!?どこどこー!?」
110松木「いやぁ、ヒールが溝にいい感じでハマっちゃって。一晩ここで過ごしてたわ……」
111あきら「先生、そこは普通にヒール脱いで裸足で帰ろうよ……。」