学園編 ななせ再び
000ななこ「こんにちは、私ななこ!
どこにでもいるような普通の小学生……なんだけど。
ほんとはね、七つの魔法の力で、
ご町内の平和を守る魔法少女なんだよっ。
だけど、その事は学校のお友達には内緒なのっ」
001ななこ「うゆゆっ!おはよー!」
002優子「おはよう、ななちゃん」
003ななこ「この子が私のお友達、上村優子ちゃん。クラスの生活委員をやっている真面目な子なんだよっ」
004ななこ「ゆっこちゃん、今日も登校するの早いねぇ。クラスで一番乗りだったりして」
005優子「今日は日直だからね。早く来て色々することがあったの」
006ななこ「……日直でも私はいつもと変わらない時間で来るなぁ」
007優子「あっ、チャイム鳴ったよ。席につかなきゃ」
008ななこ「うんっ、じゃあまたあとで……うゆゆっ!?」
009あきら「うりゃっ!ぎりぎりせーーーふっ!」
010優子「……セーフじゃないよぅ」
011ななこ「この子が私のもう一人のお友達、下里あきらちゃん。体を動かすことが好きな、活発な女の子なんだよっ」
012ななこ「あきちゃん……前方注意だよぉ」
013あきら「あっ、ごめんごめん。あっはっはっはっは……」
014松木「こらっ、もうチャイム鳴ってるでしょっ。席につきなさい」
015あきら「へーい、すいやせーん」
016松木「やれやれ……。それじゃ朝のホームルーム始めるわよー」
017優子「起立ー。気を付けー。礼ー。」
018松木「それじゃ、出席をとる前に転校生の紹介をするわ。……入っていいわよ」
019七瀬「はい」
020ななこ「あっ!あの子は……!」
021松木「自己紹介、してもらえるかしら」
022七瀬「……境七瀬です。宜しくお願いします」
00tななこ魔法少女まじかるななこ 第14話『ななせ再び』
023優子「ななちゃん?ななちゃん、どうしたの?さっきからぼーっとして」
024ななこ「うゆっ!?何でもないよ」
025あきら「どーせ腹減ったなー、とか考えてたんだろ?」
026ななこ「ぬなっ!?それはあきちゃんでしょー!」
027あきら「あはははー、ばれたかー。給食のことばかり考えてたよ。今日は揚げパンだってさ」
028優子「あきちゃん、パンは一人一個だよ……。あっ、境さんが前に通ってた学校の給食はどんなものがあったの?」
029七瀬「私、転校が多いから。だけどどこも似たようなものじゃない?」
030七瀬「……ちょっと、あなた」
031ななこ「うゆっ!?わ、私!?」
032七瀬「……学校内を案内してくれないかしら」
033あきら「この学校には知る人ぞ知る秘密スポットがあってだなぁ……」
034七瀬「私はこの子に言ってるんだけど。案内してくれるの?」
035ななこ「うん……わかったよ」
036ななこ「で、ここが保健室だよっ。と……これで一通り案内終わったんだけど……。」
037七瀬「そう、ありがとう」
038ななこ「……ななせちゃん、やっぱり、あの、ななせちゃんだよね?」
039七瀬「あなたこそ魔法少女まじかるななこよね?」
040ななこ「それを知ってるって事は、やっぱり魔道少女ななせちゃん……!」
041七瀬「魔道少女ななせ……こう名乗るのは久しぶりね。だけど、少し違うわ」
042ななこ「うゆ?違うって、何が?」
043七瀬「私はもう魔道少女じゃない……魔法少女ななせよ。黒魔法こそ究極の魔法だと思って魔道に従事してきたけど、あなたの魔法の力に負けてしまった……だから、あらゆる魔法の力を使う事ができる魔法少女になる事にしたの」
044ななこ「魔法少女……?って事は、私と一緒だね!」
045七瀬「……勘違いしないで。私はあなたと馴れ合う気はないわ。こうしてあなたと二人きりになったのも、あなたに警告するためよ」
046ななこ「警告……?」
047七瀬「今から私のする事を決して邪魔しないで」
048ななこ「何をするつもりなのかなぁ……?」
049七瀬「世界の秩序を統べるために必要な事よ」
050ななこ「世界の秩序……?前もそんな事言ってたよね?一体それって何の事かなぁ?」
051七瀬「あなたがそれを知る必要はないわ。いい?警告はしたわよ……。」
052あきら「何だよあの転校生。この学校に馴染む気はあるのかねぇ」
053優子「まぁまぁあきちゃん……いきなり馴染めって言われても無理だよ」
054あきら「都会から来たからって気取っちゃってさ。あたし、ああいうタイプは嫌いだね」
055優子「あきちゃーん……せっかく同じクラスになったんだし仲良くしようよー」
056あきら「良い子なゆっこは誰とでも仲良くなれるんだろうけど、あたしは駄目なものは駄目なのっ」
057七瀬「……どいてくれる?」
058優子「あっ、ご、ごめんね」
059七瀬「今日は早く下校した方がいいわ。さようなら」
060優子「あっ、また明日ね」
061あきら「もう、何だよあいつー!」
062ななこ「うゆゆゆゆ……」
063ももんが「ななこちゃん、何を考えこんでるんだい?」
064ななこ「一体、ななせちゃんは何をしようとしているのかなぁ、って……。」
065ももんが「あいつに三味線にされかけた僕としては、あいつの動向を要注意した方がいいと思うけどなぁ」
066ななこ「でもでも、今は同じ魔法少女なんだよ!?きっと分かり合えると思うの」
067ももんが「それはどうかなぁ……」
068ななこ「私は、ななせちゃんを信じたいなぁ。だから、余計に気になるの。一体どんな目的でこの学校に来たのか……。」
069優子「あっ!いけない!」
070あきら「ん?どーしたゆっこ」
071優子「教室に体操着忘れちゃった!」
072あきら「仕方ないなぁ。待ってるから取ってきなよ」
073優子「ごめんね!すぐ戻ってくるから!」
074優子「ええっと……あったあった……もって帰って洗濯しないとね」
075怪人「ぶらーーーーーーーーーーーっく!!!」
076優子「きゃあっ!?おかしな格好のあなたはもしかしなくても怪人さん!?」
077怪人「その通り!我こそは怪人ブラックボード!日々チョークの粉まみれになっている学園最大の功労者である!」
078優子「や、やっぱり怪人さんだぁ!」
079怪人「そんな事よりも聞いてくれよ。最近、ホワイトボードに押され気味なんだよ。あいつの方がマジックで書けるから使い勝手が良いって理由だけでさ。あいつより遥かに先に学園に尽くして来たのに……!そのうちあの新人に歴史ある俺達は取って変わられてしまう!」
080優子「それはちょっと可哀想かも……。」
081怪人「そうだろうそうだろう!可哀想な我々を慰めてくれたまえ!時に少女!黒と白!どっちが好きだい!?黒と!!!白!」
082優子「く、黒です!黒、はい」
083怪人「宜しい!では少女!今日の下着の色は!当然黒であろうな!」
084優子「そ、それは……。」
085怪人「少女よ何故黙る?まさか!黒ではないのでは!?」
086優子「小学生で黒い下着穿いてる子なんていないと思う……」
087怪人「うっ、うぐぐ……百万歩譲ってそれは認めよう。だがしかし!間違っても白だなんて事はないだろうな!」
088優子「えーっと……。」
089怪人「少女よ何故黙る?まさか図星か!?許さん!お前も黒板にしてやる!」
090優子「チョークの粉まみれは嫌ぁー!誰か助けてー!」
091ななこ「うゆゆ!?ゆっこちゃんが危ない!」
092ももんが「ななこちゃん!まじかるおたまで変身だ!」
093ななこ「うんっ!まじかるフォーム!」
094ななこ「ご近所の平和を守る魔法少女ななこ、ただ今参上!セクハラ怪人はこの私がこらしめちゃうんだから!」
095優子「魔法少女さん……きゃあっ!?」
096怪人「おっと。それ以上近づくとこの少女にチョークスリーパーをかけるぞ」
097ななこ「人質だなんて……汚いよっ!使いすぎた黒板はきれいにチョークが消せなくて汚いよっ!」
098怪人「何とでも言え!今にこの世の白いものを黒く塗りつぶしてくれるわ……うわっ!?」
099七瀬「ちぃっ、外したわ」
100怪人「伏兵か!人質がいるのに魔法ぶっ放してくるとは……危ない奴!それでも魔法少女か!」
101七瀬「怪人ごときに魔法少女の何たるかを語られたくはないわね。まじかる……キック!」
102怪人「うおおおおおおっ!?」
(SE・大爆発)
103ななこ「だ、大丈夫?ゆうこちゃん」
104優子「な、何とか……。」
105七瀬「放課後になってもすぐに帰らないから危ない事に巻き込まれるのよ……これに懲りたら下校時間になったらすぐに帰りなさい。さようなら」
106ななこ「待って!」
107七瀬「何か用?」
108ななこ「ななせちゃん、あなたの目的は一体何なのかなぁ?」
109七瀬「言ったはずよ、世界の秩序を守る事だって。その様子だとこの学園の秩序が崩されようとしている事にも気づいていないようね」
110ななこ「学園の秩序?でも怪人はななせちゃんが今倒したし……。」
111七瀬「あの怪人は尖兵にしか過ぎないわ。影で糸を引いている本当の黒幕がいるはずよ」
112優子「ああっ!もしかして……」
113ななこ「ゆうこちゃん、何か知ってるの?」
114優子「聞いた事ある。この学園にちょっと前から悪霊が棲みついてるって噂……。」
115七瀬「そう、それこそがおそらくこの学園に潜む怪人達を操っている本当の黒幕なのよ!」