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そんなに婚約破棄したいならどうぞご自由に 〜私は私で生きるだけ〜

「今日君を呼び出したのは、伝えたいことがあるからだ」


 婚約者フォリオ・ヴァンボーデンは改まった様子で佇んでいた。


「何でしょうか」

「君との婚約は破棄とすることを決めた」

「……いきなり過ぎませんか」

「これは決定事項だ。君が何と言おうが泣きわめこうが、この決定が覆ることはない」


 さすがに泣きわめきはしない……。


「せめて理由を教えていただけませんか」

「君に言うことはもうない。去ってくれ。婚約破棄は決定事項だ」


 それからも何度か理由を話すよう頼んでみたが、彼は「婚約破棄は決定事項だ」と繰り返すのみ。


 私は一旦彼の前から去ることにした。


 そして、後から「正当な理由なく婚約を破棄された」として訴え、慰謝料をもぎ取ることに成功した。


 その後私たちが直接顔を合わせることはなかったけれど——知人の紹介で知り合った男性と結婚し穏やかな幸せを手に入れた私とは対照的に、彼は女性問題で揉めることが多く幸せにはなれなかったようだ。


 数年後、彼は完治しないと言われている感染症にかかり、あっという間に亡くなってしまったそうだが。


 彼の最期の言葉は——


「あの時婚約破棄なんてしなければ良かった。そうすれば、こんな寂しい思いをして死ぬこともなかったのに」


 ——だったらしい。



◆終わり◆

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