ブサイクだなんだと言われたうえ婚約破棄されましたが、愛される存在になれました!
「伝えるのがいきなりになったことは悪いと思っているけれど……婚約破棄させてもらうよ」
数年前に領地を与えられた歴史も実績もまだほとんどない新興領地持ちの家の息子にして私の婚約者でもある青年フィルハートは、急にそんなことを言ってきた。
唐突過ぎやしないだろうか。
「もともと君のことは好きでなかったんだ、ブサイクだから。でも我慢してきた。家の地位を高めるために、な。でももう我慢できない。君のようなブサイク女を妻にするなんて、やはり、どうしても耐えられない」
婚約破棄のみならず、そんなことまで言われてしまった。
私は彼の前から去ることにした。
フィルハートとの婚約破棄の後、私は、私の家と同じくらい歴史も実績もある高貴な家の子息に気に入られ、絆を深めてやがて彼と結ばれた。
とても大切にしてもらっている。
愛されている。
そういえばこれは最近知ったことなのだが。
フィルハートは女性関係で揉め事を起こし、社会的地位を完全に失うこととなってしまったそうだ。
近所の人たちからは『股しか能無し男』と呼ばれるようになったらしい。
また、彼の行いを批判する過激な人から、生卵をかけられることもあったそうだ。
◆終わり◆