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嫌いですって? だから婚約破棄ですって? どうぞ、ご自由に!!

「お前のことは嫌いになった。だから婚約破棄する」


 婚約者フォルトがいきなりそんなことを言う。


「ええ! 構いませんよ! ご自由に!」

「な……」

「何を驚いているのです? そこは喜ぶべきところでしょう」

「なっ……さすがにそれは失礼ではないか……?」

「失礼なのはそちら、ですよね」


 嫌いになった、だなんて。


「婚約破棄は受け入れます。では、さようなら」



 ◆



 あれから十五年、私は権威ある家の息子のところへ嫁ぎ、今やこの国の頂点に近い存在となっている。


 とはいえ権力を悪用したりはしない。

 人々のために力を使う。


 そういえば、フォルトはあの後家への突然の落石によって大怪我を負い、治療の甲斐なく亡くなってしまったそうだ。



◆終わり◆

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