暴言吐きの婚約者は最終的に残念なことになってしまったようです。
「君とはもうやっていけない! よって、婚約は破棄とさせてもらう!」
婚約者ヴィーゲンがある日突然そんなことを宣言してきた。
それだけでも驚くべきことなのだが、なんと、彼の場合はそれだけではなかった。
「元より君のことはあまり好きでなかったんだ。美人でないし、身体の凹凸もかなり控えめだし、色気の欠片もない。勉強が得意か何か知らないが、女性としての魅力が一切ない」
ヴィーゲンは何の躊躇いもなく平然とそんなことを言ってくる。
「女性に生まれたならば男性に奉仕することを第一に覚え学び考えるべきだろう。それが女性として生まれた者の義務だろう。そんなことすら習わずに年を重ねているとは、まったく、君の親は何者なんだか。……はぁ、呆れる。君の親はどれだけ馬鹿なんだ」
こうして私たちは別れた。
◆
あれから数年、私は王に見初められ、めでたくこの国の王妃となった。
今は忙しくも楽しく暮らせている。
ちなみに。
ヴィーゲンはあの後太ももの付け根が腫れる謎の病にかかったうえ、気晴らしに少し散歩に出ていた最中に落石に当たり、落命してしまったそうだ。
命を落としたのは残念なことだが……もはや私には関係ない。
◆終わり◆