婚約破棄されましたが自由な時間を得られて最高です
「君みたいな女を妻にするのはやはり我慢ならない! よって、婚約は破棄とする! いいな、二度と俺の前に現れるな!」
ある日のこと、婚約者ブェルテからはっきり告げられてしまった。
私はそれを受け入れた。
これはで彼と関わってきた中で、こういう時には何を言っても無駄だろう、とほぼすべてを諦めていたから。
私たちの婚約は破棄となり、私たちは他人となった。
きっともう出会うこともないだろう。
◆
婚約破棄から十五年。
私は今、ガラス細工を売る店を営んでいる。
私の父の趣味がガラス細工を作ることであり、比較的年齢が低い時からガラス細工というものに慣れ親しんでいた私は、ブェルテとの婚約の破棄をきっかけにガラス細工作りに本格的に取り組むようになった。段々腕が上達し、そのうちに誰かに見てほしいと感じるようになって。そんな風にして時が経つうちに、私は、自分が作ったガラス細工を販売するようになっていたのだ。
個人的ということもあり比較的時間の自由があるので、この暮らしが私には合っていると感じる。
そういえば、ブェルテのその後について最近偶然耳にしたのだが。
彼は私と別れてから環境の変化のせいか荒れることが増え、酒と女に溺れるようになっていったらしい。
そしてその結果親から勘当を言い渡されたとか。
自宅へは一切入れなくなり、資産にも一切手を出せなくなったそう。
今は、安い酒場に出入りしては女性に奢ってもらう、そんな暮らしで……貧しいものの何とか生を繋いでいるそうだ。
◆終わり◆