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後から泣いても無駄だぞ、ですって? 一体何を言っているの、理解できません。

「君のようなお淑やかでない女性と生きていくのは無理だ。よって、婚約は破棄とする」


 ある春の日のこと、私は突然婚約者ブルーノからそう告げられた。


 最初は驚いたけれど、よくよく考えみればその婚約破棄は私にとって悪いことではなさそうだ。だって私は彼のことが好きでないから。彼は自分の思想を他者に押し付けようとするタイプ。だから私は元々彼のことを好きになれなかったのだ。


「承知しました。では私はこれで失礼します」

「謝るなら今だぞ? 後から泣いても無駄だぞ? 今ここでこれからは心を入れ替えると誓うな——」

「いえ、結構です」


 彼は一体何を言っているの?

 理解できない。


 心を入れ替える? ふざけないでほしい。私に罪があるというのか? そんな言い方をするのだから私に非があると言いたいのだろうが、だとしたら、私の非とは何? まずは先にそこを説明するべきではないのか。


「私なんて相応しくないですよ。では私はこれで。失礼します」


 私は彼の前から去る。

 その心に未練はない。


 私はまた新たな道へ足を進める、今日はその始まりの日。


 ◆


 その後私はちょっとしたことをきっかけとして王子と知り合い、親しくなり、ついに結婚を希望されて。そうして私は王子の妻となった。


 今は彼と共に生きている。


 そして、これからも、きっと……。


 そういえば、ブルーノはあれから股が腫れる奇病にかかってしまったらしく、一日のほとんどを自室のみで過ごす生活になってしまったそうだ。


 当然そんな状態では結婚も無理。

 いや、結婚どころか、普通に生きることすらままならないのだ。


◆終わり◆

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