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多趣味令嬢、婚約破棄される! 〜むしろいきいきしてきました〜

 比較的自由を与えてくれる両親のもとに生まれた私は多趣味だった。興味を持ったものに触れ、いろんな経験を重ね。自分のやりたいことに打ち込みながら、時に苦労はあるけれど、それでも自由に楽しく生きてきた。


 だが、マルティスとの婚約を機に、私は自由に満ちた時間を失うこととなってしまった。

 婚約者がいるのに自由自在に生きることは簡単でない。


 勝手とは分かっているけれど……今まで手にしていたものを失うのは辛く悲しかった。


 そんなある日のこと。


「お前みたいな中途半端な顔面なうえ忠実でない女、やはりどうやっても好きになれん。よって、本日をもって婚約は破棄とする」


 マルティスから淡々とそう告げられた。


 嬉しい! それが私の本心だった。


 私は彼からの婚約破棄をすんなり受け入れた。

 この婚約破棄は大歓迎だ。


 マルティスとの縁が切れた私は、速やかに実家へ戻り、以前のような趣味に打ち込む暮らしに戻った。


 婚約者は失ったけれど、私はそれ以上のものを得られた。


 ……いや、取り戻せた、と言うべきか。


 今、とても充実した気分になれている。

 やりたいことを思う存分やれる幸せ、やはりこれだけは絶対に手離したくない。


 私にだって譲れないものはある。


 そういえば。

 マルティスはというと。


 私との婚約を破棄した日から数日が経った頃、病弱だった妹が亡くなり、その衝撃で母が飛び降りたそうだ。

 母は悪いところを打たなかったということもあり一命を取り留めはしたが、それでも意識不明。

 また、突然発生した不幸の連続で正気を失った父は酒を大量に煽るようになり、家で暴れまわるようになったとのことだ。


 そんな荒れた状況の中で精神的に疲弊したマルティスは、ある日の早朝、近くの崖から身を投げたそうだ。



◆終わり◆

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