50/191

理不尽に婚約破棄されました……けれども気にしません。

「呼び出して悪いな」

「いいえ、構わないわ。それで？　用って？」

　婚約者セヴォンに呼び出された。

「君みたいな可憐でない女とはやっていけない。よって、婚約は破棄とする。……拒否は認めない」

　彼は淡々とそう告げた。

　あまりにも唐突で……けれども、その時には既に諦めの心が芽生えていて。

「そういう用件だったのね。きっと何も言っても無駄なのでしょうね」

「あぁ無駄だ」

「分かった。……少し驚いたけれど、受け入れるわ」

「永遠の別れ、だな」

「それはそうなるでしょうね。じゃあさようなら」

　こうして、私たちの婚約者同士としての期間は終わった。

　私たちの関係はそこで途切れた。

　◆

　それから数年、私はセヴォンとは違う男性と親しくなり結ばれ、良い波に乗るように幸せになれた。

　私はこの道を選択したことを後悔はしない。いや、むしろ、この道を選んだことを良かったと思っている。だからきっと、この先も、過去を羨むことはないだろう。

　そういえば。

　セヴォンは幸せにはなれなかったらしい。

　というのも、変な女に騙されたそうなのだ。

　恐ろしいほどに強い想いを抱えているややこしい女に好かれ捕まってしまった彼は、彼女に監禁され、外へ自由に出ることすらできない状態にされてしまったそうだ。

　もっとも、私には関係ないが。

◆終わり◆