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雑な婚約破棄なんかに負けていられません! 〜私は幸せをつかみます〜
「アンタみたいなお固い女さぁ、ほーんと嫌いだわ。……てことで、婚約は破棄な!」
婚約者マルクスフォーゲルは突然そんなことを言ってきた。
足を組んでソファに座りながら。
「理由が雑過ぎませんか」
「んあぁ? 知るかよ。なんだそれ、時間稼ぎかぁ?」
「いえ、そうではありません」
「うっせぇわ! さっさとどっか行けや!」
「……何を言っても聞いてはいただけないようですね」
呆れてしまった。
こんな人、こちらからお断り。
「では失礼します」
こうして私はマルクスフォーゲルと別れた。
◆
私は実家へ帰り、一年ほど自由に暮らした。
そして、その間に親しくなっていた青年と話がまとまり、結婚することになった。
今は穏やかに生活できている。
マルクスフォーゲルにこだわらなくて良かった、心からそう思う。
ちなみに、後に聞いた噂によれば、マルクスフォーゲルはあの後賭け事で大失敗したらしい。
大きな金額を賭ける賭け事に負け、資産のほとんどを泡としてしまったとのこと。
さらに、勝手に家のお金を使ったことで両親から勘当を言い渡されたらしい。
◆終わり◆