34/191
恋とか愛とかどうでもいいので、自由に生きさせてください!
「君のような愛のない女性とはやっていけない。よって、婚約は破棄とさせてもらう」
それはある離晴れの日のこと。
婚約者から呼び出されたと思ったら、はっきりと告げられた。
「そうですか。では私はこれで帰ります」
「物分りが良くて助かる」
「こちらとしても助かります。……鬱陶しいことに巻き込まれるのはごめんですので」
こうして私たちの関係は終わった。
でもこれでいい。
今日から私は自由だ。
◆
婚約破棄後、私は、元々の趣味であった釣りに熱中するようになった。
私の実家のすぐ正面には大きな池がある。
それゆえ、そこでずっと釣りをすることができる。
釣りは好きだ、夢がある。
ずっと糸を垂らしていたい……。
◆
数年後、知人を通じて聞いた噂によれば、元婚約者の彼はもう亡くなったそうだ。
というのも、私の次の婚約者と結婚式を挙げようと言っていた最中に、散歩中の事故で即死してしまったらしい。
悲しいことではあるけれど。
けれどももはや私には関係のないことだ。
◆終わり◆