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親が決めた人と婚約したのですが、婚約破棄を告げられてしまいまして……。

 私、ミリーナ・エトリカは、歴史の社会地位がそこそこある家に生まれた娘。

 兄弟姉妹はいない。

 その家柄ゆえに私は必ずしも誰かと結婚するということを求められていて。私としては気が進まなかったのだが、親が勝手に決めた男性と婚約することとなった。


 それが今から数ヶ月前の話である。


「君のような未来の夫にさえ忠実でいられない女、ただのゴミだ。共になど生きてゆけない。よって、悪いが婚約破棄させてもらうこととした」


 今日、私は、親が決めた婚約者であるヴィレルからそう宣言されてしまった。


 いきなり他者をゴミ呼ばわりするなんておかしい……。


 確かに私は女らしくはないし忠実でもないかもしれない。言いなりにはならないし、彼の周りの普通の女性たちとは違っていたかもしれない。男だ何だにはそれほど興味がないし。


 けれども、彼に不快な思いをさせないように、という意味では、気をつけてきたつもりだ。


 だがそれも無意味だったようだ。


 私の配慮や気遣いは無意味だったのか。

 そう思うと少しばかり悲しくもある。


「そうですか……」

「いいな?」

「……はい。分かりました」

「ではな」


 この日、私たちの関係は終わった。


 私は実家へすぐに帰った。両親はとても驚いて。何があったの、と、狼狽えていた。しかし、一連のこと、事情を説明すると、親は理解してくれた。そして、私がヴィレルと離れることを、わりとすんなり受け入れてくれた。その点は少し予想外だった。


 そうして私の婚約うんぬんは一旦白紙に戻った。


 ヴィレルと離れたのと入れ替わるように、東の国の王から連絡が届く。

 まるで私たちが婚約破棄となったのを知っていたかのように。


 私はその国へ向かうこととなる。国王に呼ばれれば無視などできない。そうして東の国へ行き、私は国王と話をすることに。


 国王は悪くはなさそうな人だった。

 彼が言うには、王子が私を妻としたいらしい。


 そういうこともあり私は王子と顔を合わせることとなって……やがて彼と結ばれた。


 今は忙しくも楽しさもある日々を過ごしている。

 生まれ育った国とは違う国での生活は時に苦労もあるけれど、それでも充実感はある。


 ちなみにヴィレルはというと。


 酒場で知り合い親しくなった女性が実は詐欺師で。婚約期間中に騙されて被害に遭い、それによって貯金のほとんどを失うこととなってしまったらしい。


 また、生きる糧を失い心が折れていたちょうどその頃に、謎の病が発症。

 頭部が日に日に大きくなる病らしい。


 医師に診てもらっても原因不明で治療法も不明。


 謎の病が発症したショックで心まで病んでしまったらしくて。


 結局今は親に介護してもらっているとのことだ。



◆終わり◆

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