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その酷い発言、きっちり録音していますよ。〜婚約破棄、その時が貴方が滅ぶときです〜

「婚約は破棄だ」


 私は婚約者グリムからある日突然告げられた。


 けれども非常に驚いたかというとそうでもない。というのも、彼が私を良く思っていないということには気づいていたのだ。


 グリムは基本的に女性には優しいタイプ。

 しかしながら私にはいつも冷たい視線を向けてきていた。


 だから気づいていた——彼は私を好んでいない、と。


「……本気ですか?」


 私は常に持ち歩いている録音機のスイッチをオンにした。


「あぁ、もちろん本気だよ。お前みたいな顔面ダメダメ女と生涯を共にするなんて無理に決まってるだろ」


 それは、剣を手に入れるため。


「むしろいけると思ってたのかよ? だとしたら顔面に加えて脳もひでぇ状態なんだな。ますます離れたくなった」


 グリムは録音機の存在にも気づかずに傷つけるような言葉を吐き続けていた。


 そして私たちは正式に婚約を破棄することとなる。


 密かに録音していた記録——それがいざこの時になって役に立った。

 その記録をグリムが酷いことを言っていたという証拠として使うことができたのだ。


 結果、私は勝利を収めた。

 慰謝料を支払ってもらうことに成功したのだった。


 それからは実家に戻ってのんびりと過ごすようになる。


 私の場合は幸い両親が嫌な人ではなかったので、実家にいる間は心地よく過ごすことができた。


 ちなみにグリムがあの後どうなったかというと——婚約破棄の際にこちらが明るみに出した音声が皆の耳に入ったことによって社会的に死亡したらしい。


 当然ただの音声くらいで物理的に死へ向かうことはない。


 だが社会的な意味であれば話は別だ。


 婚約者に対して心を引っ掻き回し裂くような発言をした人間を見てまともと思う人なんて社会にはほとんどいない——それは普通だろう。



◆終わり◆

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