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婚約破棄、別れた二人の結末

 エレナ・アイベルンは、学園一優秀な生徒と呼ばれていた。


 彼女は幼い頃から勉強というものが好きだった。いや、正しくは、勉強を義務と感じていなかった。勉強を勉強と捉えていないというか。とにかく学ぶことが好きだったのである。それゆえ、学生となってからも、成績優秀であった。


 そのうえ、容姿端麗であったので、学園での評価はとてつもなく高かった。


 教師も生徒も、彼女に尊敬の眼差しを向けていた。


 そんなエレナには、生まれた時に親と親が勝手に決めた婚約者がいた。名は、アソンダソン。良家の息子ではあるが、容姿も学力も平凡で、これといってずば抜けているところはない人物である。そんなアソンダソンは、ずっと、自分が婚約者のエレナに劣っていることを気にしていた。


 ただ、それでも、エレナとアソンダソンの関係は悪くはなかった。


 エレナは小さい頃から「彼が婚約者である」と親から教えられてきたため、そんなものだと思っていて。私には決まった人がいるから、と、恋はしなかった。当然、異性から愛を告げられたことはある。それでも、その愛を受け入れようとはしなかった。いつも拒んできた。


 彼女は納得していた。

 アソンダソンと生きてゆくことを。


 しかし、アソンダソンはというと、エレナと同じようには考えていなかった。


 彼は、婚約者より劣っていることを気にするあまり優秀な女性アレルギーのようなものを発症していて、エレナのことも実は苦手としていた。エレナという女性そのものが嫌いなわけではないのだけれど。ただ、いざ直接関わるとなると、どうしても心に闇が生まれてしまうのだ。


 その苦痛を癒やすため、アソンダソンは、齢十八を超えた頃からやたらと女を作るようになった。


 彼が相手とする女性はそのほとんどが彼より劣っていると思われる部分を持っている人物。否、厳密には、彼が自分の方が上と思える人物、ということである。


 ちなみに、エレナはアソンダソンがそんなことを続けていることを知っていた。


 だが特に何も口出ししなかった。

 それもまた彼の人生だから、と。


 だが、エレナとアソンダソンが学園を卒業した年、問題が発生した。アソンダソンが親しくしている女性のうちの一人が妊娠していることが判明したのだ。


 その事実にエレナの父親が激怒。

 結局、婚約破棄となった。


 多額の慰謝料を支払わなくてはならなくなったアソンダソンの実家は財産の半分以上を失った。



 ◆



 婚約破棄が完了した後、エレナは少しばかり悲しんでいた。が、その悲しみを力に変えて、さらに勉強に励んだ。知識を得ること、新たな世界を探ること、彼女にとってはそれが救いだった。


 結果、エレナは学者として大成した。


 女性で学者となる者はほとんどいなかったのだが、彼女は、茨の道を突き進んでみせた。


 一方、アソンダソンはというと、婚約破棄以降も多数の女性と交流を続けていた。


 エレナと別れた直後、妊娠した女性と結ばれた。だが、結局、その関係もまともには続かない。というのも、女性が出産するまでの間にもアソンダソンは異性と遊び回っていたのだ。


 アソンダソンは、妻がいてもほとんど家には帰らなかったし、稀に帰ってきてもまたすぐに出かけていく。

 そんな生活に嫌気がさした女性は、出産の直前、窓から身を投げて亡き人となった。


 それからもアソンダソンは女遊びを続けていた。が、女遊びのし過ぎで不治と言われている病にかかり、数ヶ月の闘病の後に亡くなった。



◆終わり◆

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