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虐めてくる妹がいる婚約者に婚約破棄された私ですが、別の人と結ばれ幸せになるのです。

 裕福な事業家の息子ヴィクトルと婚約した私だったが、彼の妹に嫌われてしまったために虐められることとなってしまった。


 ヴィクトルの妹は徹底的に虐めてきた。


 知人に悪口を言いふらしたり、すれ違いざまに泥をかけてきたり、我が家へ来て不快なことばかり言ってきたり……とにかくいろんな意地悪をされた。


 しかしヴィクトルは見て見ぬふり。


 虐めを知っていて気づかないふりをしていた。


 だがある日。

 彼から宣言される。


「きみとの婚約、破棄するから」


 彼は冷ややかに告げた。


「妹がさ、きみに睨まれるって言って、いっつも泣いているんだ。酷いね、きみって。妹を睨むような女、とっとと去ってよ。……じゃあね、ばいばい」


 こうして私は婚約破棄された。



 ◆



 その数年後、私はとある晩餐会で知り合った男性トールンと結婚した。


 彼は大金持ちではない。

 ただ非常に貧しいかというとそんなこともない。


 なので今は彼と幸せに暮らせている。


「今日もしりとりするっすか?」

「いいわよ~」

「よっし! じゃ、開始っ! まずは……海老ドリア」

「明日、でいいかしら」

「いいよ。じゃあ……数字」

「自分語り」

「利便性」

「いびき、にするわ」

「菊! 確かそんな花があったはず」

「そうね、聞いたことがあるわ。ええと……じゃ、栗」


 私とトールンはしりとりをするのが好きだ。


 これは異国から伝わってきた遊びだそうだ。

 地味だがかなり楽しい。

 二人の時、私たちは、よくその『しりとり』をする。


「利己的」

「きいちご、にするわ~」

「ごますり」

「り多いわね……離島にするわ~」

「うみうし!」


 そうそう、そういえば、ヴィクトルはあの後貧しさに喘ぐこととなってしまったそうだ。


「し、し、し……詩集、にするわ~」

「浮き輪」

「渡り鳥」

「立派な人!」

「富、にするわね~」


 ヴィクトルの親の事業が失敗したことですべてが変わったそうで。

 家の資産はあっという間になくなり、持っていたものもそのほとんどを手放すこととなったらしい。


 もちろん、家も。


「見て見ぬふり、とか」

「また、り、じゃないの~。ああ困ったわ~……離宮」

「売る!」

「留守」

「じゃあすき焼き!」


 ヴィクトルは今はかなり環境の悪い場所でかなり過酷な労働を強いられているそうだ。


 そして彼の妹はというと。

 借金返済のため、裏社会へ売りに出されたらしい。


 けれども私は幸せに生きる。



◆終わり◆

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