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猫族のあたし、野菜好きなせいで婚約破棄されちゃった!?

 あたし、ネネコンは、猫族の女の子。十五歳。


 猫族では十五歳というとそろそろ結婚し家庭を築く年代なの。でもあたしは最近婚約破棄を告げられてしまった。野菜ばかり食べて猫族らしくない娘は貰えない、ですって。酷いものよね。


 婚約者の彼はいつも言ったわ。


「君は猫族らしくない。それがどうしても受け入れられない」


 一度は婚約を受け入れたというのに、いざ一緒に過ごす始めたらそんなことばかり言っていたの。

 腹が立ったわ。

 しかも、あたしに色々嫌みを言ってくるのは彼だけじゃない。彼の両親もまた、あたしを好んではいなかったの。それで、顔を合わせるたびに、余計なことばかり言ってきたんだ。


「ネネコンさん、猫族の女性という自覚はあって? 猫族らしく振る舞いなさい」


 彼の母親はこんなことばかり。


 知らないよ! そちらが思う猫族らしさに付き合っていられないよ! そもそも、猫族らしく、って何? 猫族でも野菜を食べる者もいる。普通のことなのに!


「ネネコンさんといったか。君は、その……ボリュームが足りないね」


 これは彼の父親の発言。


 失礼にもほどがあるよ! これは酷いよ!


 そんなだから、あたしは、婚約破棄を受け入れた。なぜって、何をしても何を言っても無駄だろうと思ったから。彼らとあたしじゃそもそものところから違う。話し合いなんてしてもきっと発展しない。


「分かりました! 婚約破棄でいいです!」


 あたしはそう言って、彼のもとから去った。


 数年後。

 あたしは熊族の一人の男性と知り合った。


 彼も野菜好きで、好みが合っていたということもあり、あたしたちはあっという間に仲良くなった。種族の壁なんてどこにもなかった。


 そして結ばれた。


 ちなみに、元婚約者の彼はというと、あの後災難に見舞われたらしい。


 嵐で住んでいた地域が壊滅し、一族のほとんどが住むところを失ったんだって。

 もちろん死者も出た。


 でも、本当の地獄はそこからだったんだ。


 蓄えていた食糧が使えなくなってしまったことで皆が飢え、いさかいが起こり、しまいに殺し合いが勃発するようになって。嵐は生き延びた者たちも次々と殺されることとなっていってしまったんだって。ちなみに、その中には彼の両親も入っていたらしいんだ。


 あたしとあたしの両親は熊族の村に移り住んでいたから無事だったんだ。

 ある意味幸運だったと言えるかもしれないね。



◆終わり◆

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