婚約破棄された私はちょっとしたことから竜騎士になりました!
「アメリア、君とはもう生きていけない。なぜなら君は女性らしくなく俺に忠実でないからだ。……よって! 婚約は本日をもって破棄とする!!」
婚約者エルクは突然そう宣言した。
私は何とか説得しようとしたが無駄だった。
発した言葉が彼に届くことはなかった。
そのまま私は追い出された。
その日は雪が降っていて、とても寒かった。でも、物理的な寒さ以上に心が寒く、全身が震えるようだった。寒さに身を震わせることしかできないことを情けなく思いはする、でも、どうしようもなくて。
「女性らしくない、か……」
寂しさを胸に抱えたまま、私は実家へと帰る。
◆
だがそれから数日が経ったある日。
私の前に一人の神様が現れた。
彼は神様を名乗っているが目的は不明で怪しいとしか思えなかったのだが……。
「キミ、竜騎士ニキョウミハナイカイ?」
神様だというその人物は言ってきた。
竜騎士なんてよく分からなくて。
でも興味がまったくないかというとそんなこともなく。
「詳しく知りませんが興味なら……少しあります」
そう答えたところ、私は神様に連れられて別世界へ行くこととなった。
まさかの展開。
でも受け入れよう。
◆
数年後、私は竜騎士として生まれ育った世界へ帰ってきた。
修行は辛くも楽しくて、乗り越えられた。
今ではすっかり竜を乗りこなせるようになった。
この力は人助けのために。
それが誓いだ。
私は戦う。
これからも、この先も、ずっと。
よく分からないきっかけだったけれど結果的に手に入れられることとなったこの力。
きっと皆のために使おう。
多くの人の命を守るため、生きる。
ちなみにこれは通行人の会話で知ったのだが、エルクは魔物に襲われたことで亡くなったそうだ。
◆終わり◆