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このたび、勝手な理由で婚約破棄されました。~でもいいの、私には可愛い妹がいるもの~

「貴様のような女と生涯を共にするなど無理だ! よって、婚約は破棄とする!」


 婚約者である彼、ボイガー・ボイラスン・アボンボガス・ボボストラ・オーウェク・オペピン・ホーリュオは、ある快晴の日にそう宣言した。


 彼との婚約者が消えるとは思っていなかったので、そういう意味では驚いた。

 が、彼がその気なら、こちらとしてもそれで構わない。

 私とて無理を言って頭を下げてまで一緒にいてほしいなんて思っていないのだから。


「承知しました。では失礼いたします」

「悔しいならこの偉大なるボイガー・ボイラスン・アボンボガス・ボボストラ・オーウェク・オペピン・ホーリュオに相応しい女になってからもう一度頼んでみろ」

「いえ、もう関わることはないと思います。悔しくもないですし。ではさようなら」


 彼への執着はない。むしろ家へ帰りたい。そこには可愛い妹が待っているから。今すぐにでも、彼女に会いたい。だから実家へ帰る。ボイガーのことなどどうでもいい。



 ◆



「おかえり! おねーたん!」


 私の妹は私よりかなり年下だ。

 それもあって、とても可愛い。


 いつも甘えてくれるし、足小さいし。


 ……あぁ、見ているだけで癒やされる。


「ただいま」

「おねーたん大好きー!」



 ◆



 あれから十年。

 私は今も実家で両親と妹と四人で暮らしている。


 妹も年を重ねた。それこそ、結婚うんぬんの話が出てきてもおかしくないくらいだ。とても可愛い容姿だし性格も良い、男がいるところへ出ていけばすぐに惚れられあちらこちらから引っ張られるだろう。


 だが彼女は異性を求めてはいない。


「結婚しない! ずっとおねーたんと一緒にいるから!」


 彼女はそういう話になるといつもそう言い放つのだ。


 姉妹というと一般的にはべたべたしそうにないものだが、私と彼女に関しては例外。非常に仲良しで、いまだに一つのベッドで寝ているくらいだ。身体を洗う時でさえ一緒にいたりする。


「おねーたん、ケーキ買ってきた」

「ありがとう!」

「クッキーサンドが売れてるって。だから買ってみた」

「へー、美味しそう」

「食べてみよ! おねーたん!」


 ちなみにボイガーはというと。

 ある晩、天体観測をしていたところ、隕石の欠片のようなものの落下に巻き込まれてしまって、負傷した部位が悪くて落命したそうだ。



◆終わり◆

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