婚約破棄されたの! でもいいの! 前向いて生きていくの!
ある秋の日、婚約者である黒髪の彼ボイーグルイズに呼び出されたの。
急だったから「何だろう珍しいな」と思いつつ彼のところへ行くと……。
「君みたいな馬鹿な女性とは生きていけない! よって、婚約は破棄とする!」
こうして私は切り捨てられちゃったんだ。
最初は何がどうなったかよく分からなかった。でも、私の脳が理解できるより先に、私は彼の家から追い出されたの。しかも、二度とここへ立ち入るな、とまで言われちゃった。
べつにわざわざ彼のところへ行ったりしないのに……。
でも、ちょっとくらい、何か言わせてほしかったな。
言葉を返す時間くらいは欲しかったな……。
まぁでもこうなってしまった以上はどうしようもないんだよね。
ボイーグルイズに執着していても意味なんてない、今さら何かしたからって関係を取り戻せるわけでもないし。
ならもういいの!
前を向いて生きていこうと思うの!
◆
あれから四年、私はボイーグルイズではない人と結婚して幸せに暮らしているの。
夫である彼に出会えて良かった。
心からそう思える。
だからこの道を選んだことを悔やみはしない。
ボイーグルイズが何と思おうと言おうと関係ない!
私は私で幸せになる、それでいいの!
で、ボイーグルイズのその後について三日ほど前に知ったのだけれど。
彼はあの後一人暮らしをしていたらしくて、でもそんなある日自宅で突然死していて、傍らには呪いの手紙が置かれていたんだって。
何があったのかなぁ……。
まぁでも私にはもう関係のないことだから、ボイーグルイズに関する疑問なんて無視して生きていくの。
だって今さら首を突っ込むなんておかしいし。
私は今あるこの幸せを大事にしていく。
それが私の人生なの。
私自身が、それを選んだの。
◆終わり◆