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婚約者が別の女性といちゃいちゃするので、婚約破棄しました。

「ねぇねぇ好きって言ってぇ~」

「好きだよぉ」

「えぇ~そんなのぉ嘘っぽぉ~い~」

「本当だよ。心の底から愛してる」


 人は信じられるだろうか?

 婚約者が知らない女性と身を寄せ合っていちゃいちゃしている光景をいきなり見せられて。


「本当にぃ~? なら口づけしてみせてぇ」

「あぁもう仕方ないなぁ」


 今私は婚約者バルボロスが身知らぬ金髪女性と唇を重ね合っている光景を目にしている。


 私はただ彼に借りていた本を返しに来ただけ。

 なのになぜこんなことになったのか。


「あの……バルボロスさん? なぜこんなところでそのようなことをなさっているのですか?」


 私は偶然持っていた小型カメラで身体を密着させる二人の様子を撮影。


「り、リリィ!? な、ななな、なぜここに!?」

「本を返しに来たのですが」


 私がここへ来た理由は本当にそれだけなのだ。


「あ、あぁ! そうか! 本か!」

「でも邪魔みたいですので、これで失礼しますね」

「あ、いや、そのっ……」

「婚約は破棄させていただきますので、ご心配なく」


 私は借りていた本が入った袋をそっと床に置き、くるりと体の向きを反転させる。そして、彼らがいるのとは逆の方向に向かって足を踏み出す。


「ねぇねぇバルボロスぅ、あの地味娘何なのぉ?」


 聞こえてくるのは女性の甘ったるい声。


「言ってた婚約者」

「ふぅ~ん。バルボロスも大変ねぇ、あんな地味な娘と婚約させられるなんてぇ~」


 その後私はバルボロスとの婚約を破棄するべく動き出す。

 彼と離れることに躊躇いはなかった。


 私はバルボロスからしっかりと慰謝料をもぎ取った。もっとも、それほど高額ではないけれど。でもそれでも良かった。お金をたくさん欲しい、というよりかは、彼側に問題があることを証明したい、という気分だったから。


 以降、私は異性との付き合いしなかった。


 それでも幸せだったのは、昔からの趣味であるカメラがあったから。幼い頃に父が教えてくれて好きになり色々なものを撮影してきたが、その趣味が私をいろんな意味で救ってくれたのだ。


 ちなみにバルボロスはというと、生涯結婚はしなかったらしい。


 しかし女性との関係は持っていたようだ。

 それも多数と。


 きっと彼は結婚とか一人に絞るとかに向かない人間だったのだろう。


 最終的には、女性から病をもらってしまい、それによって落命したらしいが。



◆終わり◆

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