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婚約破棄された人外娘は天罰を下す!

 あたしは人魚族の族長の娘。

 でもちょっとした事情があって人間と婚約したの。


 最初は慣れなかった人間界での暮らしにも時が経つにつれて段々慣れてきていたのだけれど……。


「やっぱ人魚とか無理だわ。てことで、婚約は破棄な」


 婚約者アカダ・ブルーモースーンから急にそんなことを告げられてしまったの。


 驚いたわ。

 今さらそんなことを言われるなんて、と。


 あたしが人魚族であることなんて彼は最初から知っていたのに。


「待って! いきなり過ぎるわ。人魚族のことなんて前から知っていたでしょ!? どうして今になって婚約破棄なんて言い出すの?」


 あたしがそう尋ねると。


「うるさいな、黙れよ」


 アカダは冷ややかな視線を向けて返してきたの。


「人魚族のくせに生意気言うなよ」


 何それ! 感じ悪い!


 叫びそうだったけど、必死にこらえたわ。

 ここでやらかしてしまったらこちらにも非ができてしまうもの。


「じゃああたしは去ればいいの?」

「そうそう」

「分かった。そこまで言うなら……そうさせてもらうわ」


 今ここで戦う必要なんてない。


 だってあたしの父は族長。

 動くなら彼の許可をとってからの方が良いわ。


 人魚族が暮らすところへ帰ったあたしは父にすべてを話したわ。


 彼はあたしが怒っていることを理解してくれた。

 で、罰を与えることも認めてくれたの。


 さて! ここからが力の見せどころね!


 見ていなさい、アカダ。



 ◆



 あれから数十年、あたしは同じ種族人魚族の男性と結婚して五人の子にも恵まれて、幸せに暮らしているわ。


 ちなみにアカダがあの後どうなったかというと。


 彼はあたしの術によって毎晩『生臭い人魚を口に突っ込まれて食べさせられる怖い夢』を見るようになって心を病み、ろくに睡眠もとれずにいることで段々衰弱、今では自立した生活さえままならないような状態になっているそうね。


 ま、でも、自業自得よ。


 人魚族には『やられたらやり返せ、ただし自分で』という掟があるのよね。

 だからあたしはそれに従った、それだけよ。


 いつか人間と人魚族が仲良くなれる日が来たらいいなとは思うけれど……いつになるかしら?


 お互い受け入れあって対等に接することができるようになれば。

 関係は変わるかもしれないわね。



◆終わり◆

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