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婚約破棄された私は別の生き物として生きてゆくことを決めました。

「おまえみたいな女と婚約するんじゃなかった! 君の昨日の可愛げのない態度を見て改めてそう思ったよ! よって、婚約は破棄とする!!」


 私は今日、婚約者に捨てられました。


 彼ドーピンとは学園に通っていた時に知り合いました。少し話すようになったことをきっかけに私と彼は親しくなり、交流を重ね、やがて婚約するに至ったのです。


 しかし婚約してからというもの、彼は急激に冷たくなって。


 私を放置して別の女性と遊ぶようになりました。


 けれども私は怒りをぶつけることはしてきませんでした。冷静に話をしたことはあります。でも感情的になったことは一度もありません。思いを伝える時でもなるべく彼が不快にならないよう努力してきました。落ち着いて話せるよう努力してきました。


 が、どうやら、その努力は無駄だったようで。


「とっとと去れ! 生意気女!」


 ドーピンは私を嫌いになってしまいました。


 残念ですが……こうなってしまったら仕方ない、私は去ることにしました。


 悲しさはもちろんあるのです。

 けれども構いません。

 辛い過去を振り返ることはせず、徐々に前を見つめていこうと思います。



 ◆



 そんなある日、私の前に一人の年老いた男性が現れました。


「おぬし、ポククラポクトスにならんか?」


 彼はいきなりそんなよく分からない提案をしてきました。


 理解不能でした。

 でも、詳しく聞いているうちに、ポククラポクトスというのが可愛らしい魔獣であると判明しました。


「これでおぬしは愛される。幸せにな」


 私はポククラポクトスになることを選びました。


 ふわふわのうさぎのような見た目。

 こういう外見も悪くありません。


 これからはポククラポクトスとして生きていこうと思います。


 この姿であればきっと可愛いと思ってもらえる。

 それがとても嬉しいです。



 ◆



 あれから五年。

 ポククラポクトスとなった私は富豪の男性にペットとして飼われています。


 毎日熱心にお世話してもらえ、餌も豊富かつ美味、幸せな暮らしです。


 そうそう、最近になって、飼い主が友人と喋っていたことで知ったのですが……ドーピンはあの後悪い人と知り合いになってしまい詐欺グループに加入、犯罪に手を染めて逮捕されたそうです。


 逮捕後彼は「たくさんの美女に愛されるための金が欲しかった、儲けたかった」と話していたそうです。


 美女に愛されるため詐欺グループに加入とは……正直驚きました。



◆終わり◆

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