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貴方は自分が何をしようとしているのか分かっていないのですか? 婚約破棄なんて、自ら滅ぼうとしているようなものですよ。

 私、ウィルフリーナは、魔族の王女。


 数ヶ月前、二つの種族の架け橋となるべく、人間の王子ハリーと婚約した。


 望んでのことではなかった。それでも私は人間と婚約したことを悔やみはしない。むしろ、私は魔族の王女としてできることをしたと考えている。強大な力を持っているわけではない私にできること、魔族の王女として私にできること、それが人間の王子との婚約だったのである。


 しかし私の望みは——。


「ウィルフリーナ、魔族の王女よ、本日をもって婚約を破棄とする!」


 王子ハリーは公の場にてそう宣言した。


「待ってください、何を仰っているのですか。いきなり婚約破棄だなんて」

「何を言っているのか? その問いの意味が分からん! さっさと去っていけ」

「婚約破棄だなんて、わざわざ二種族の関係を壊すようなものです」

「知るか! ……さては、婚約破棄されるのが嫌でそんなことを言ってるな?」


 呆れてしまう。

 なぜそこまで偉そうな態度を取れるのか。


「いいからさっさと出ていけ! 野蛮な魔族の女!」


 こうして私は追放された。


 仕方がないので、私は、生まれ育った魔族の国へ帰ることにした。



 ◆



 その後はやはり予想通りの展開になってしまった。


 人間の王子が私に婚約破棄を告げた——それはつまり、二種族間の約束を破ったということ。

 規則や約束を守ることに重きを置いている魔族にとっては、それは、大きな過ちである。


 そうして戦争が始まった。


 開戦から数ヶ月、人間の国は魔族のものとなった。


 魔族とて悪魔の所業を繰り返す者たちではない。それゆえ、多くの一般市民の命を奪うことはしなかった。たとえ裏切り行為をした人間と同じ種族だとしても、罪なき一般市民にまで罰を与える必要はないからだ。


 かつてハリーの一族が治めていたその国は、魔族が治めてはいるが人も生きるという国になった。


 ただし、王族だけは、徹底的に罰を与えられることとなる。


 王族の血を引く者の多くが拘束されその後に処刑された。

 当人であるハリーはというと、北の塔に送られ、昼間は労働力として奴隷のように働かされ夜は塔に監禁されつつひたすら拷問されているらしい。


 もっとも、それも彼が選んだ道なのだけれど。



◆終わり◆

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