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好きだからとか何とかで追いかけ回された挙げ句家の力を使い婚約にまで持ち込まれたのですが……。

 あれは今から一年と少し前のこと。

 私とダニエルは同じ学園の生徒だった。


 ある日少し言葉を交わしたことをきっかけに、ダニエルは私を追いかけ回すようになった。


 もちろん、想ってもらえること自体は嬉しいことではあるのだが……彼の場合やり方が少し過激で。


 わざわざ会いにきて周りの状況など気にせず「好きだよ!」「ずっと一緒にいていい? いや、君もその方がいいよね?」とかやたらと声をかけてくる。しかも、私が彼を好きになっているかのようなことまで大きな声で言ってくるから、こちらとしては恥ずかしいし、厄介としか言い様がない。


 さらにそれだけでは終わらず。


 二人で会ったり遊んだりの誘いを毎日のように持ちかけてくるのだ。

 学園からの帰りにも「一緒に帰ろう」と言ってきて、毎日毎日、ぴったりくっついてくる。


 おかげで同性の友人にも引かれる始末。


 そして、卒業と同時に、ダニエルは家の力を利用して……私との婚約を成立させた。


 しかし。


「君との婚約だけどさ、破棄ってことにするから」


 今、ダニエルは、私に対してそんなことを告げている。


「もっと魅力的な人に出会っちゃってさ。ごめんね? そういうことだから」


 こうして私は捨てられた。

 あまりにも突然の終わりだった。


 あれだけ好きとか何とか言って追いかけ回しておいて、少し気が変わったら婚約破棄とは……実に勝手な男だ。


 だが私は前を向くことにした。

 なんせ、これに関して私に非はないのだから。


 婚約破棄になったのは彼の気まぐれのせい。


 だから私は……私なりの幸せを見つけて生きようと思う。



 ◆



 あの勝手極まりない婚約破棄から数年、私は、行きつけの本屋で知り合った男性と結婚した。


 彼とは趣味が合う。

 だから共にいても苦痛はほとんどない。


 稀にはすれ違いもあるが、その程度は双方の努力で乗り越えられるものだ。


 今は前向きに生きている。


 そういえば最近になって親から聞いたのだが、ダニエルはあの後も誰かを好きになって追いかけ回すことと急に気が変わって逃げることを繰り返しているそうで、その被害はかなり広がっているらしい。


 お偉いさんからも息子の行動を問題視されたダニエルの親は彼を勘当したそうだが、それでもダニエルは似たようなことを続けていたそうなのだが……ある日突然山の中で亡くなっているのが発見されたそうだ。



◆終わり◆

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