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婚約破棄されたので実家へ帰ります。~のんびり生活したいなぁ~

「お前と生きていく? 考えただけで寒気がするわ! 婚約なんぞ破棄だ!!」


 私の婚約者である彼エルク・ドードマンは、ある日のこと、急にそんなことを叫ぶような調子で告げてきた。


 彼は整った容姿の持ち主で女性からの人気も高い。が、性格には問題がある。他人には紳士的なのだが、近い関係の者に対してはとにかく高圧的。しかも、少しでも気に食わないと、すぐに怒り出す。まるで未熟な子どもである。いや、そんなことを言ったら、子どもに失礼かもしれないけれど。ただ、そういう性格の人なので、彼の近くにいると正直疲れる。


 それにしても……寒気は言い過ぎだろう。


 失礼にもほどがある。


「分かりました。では、私は去りますね」

「あぁそうしてくれ」


 やはり、私が彼の言うことに従っている間は比較的平和だ。


 だが油断は禁物。

 ここで私が少しでも反抗するようなことを言うと、彼は爆発する。


 もうそんな彼と共にある必要もないだろう。


「さようなら、エルクさん」


 私と彼の関係はここで終わり。

 それでいい。

 彼もそれを望んでいるのだから、問題なんてないだろう。


 エルクとの婚約が破棄となった私は両親が暮らす実家へと戻った。

 そして再びそこで暮らすようになる。

 両親はそんな私を愚痴の一つも言わないで受け入れてくれた。


 私はここで生きよう。


 そう決めた。



 ◆



 あれから数年が経つが、私は今でも実家で暮らしている。


 のんびりと暮らすのは楽しい。

 好きなことに没頭できるのは嬉しい。


 刺激的なことはそれほどなくても、それでも幸せを感じることはできる。


 最近はティータイムに凝っていて、たまに街へ出ては珍しい茶葉を探している。それが今の私の趣味だ。もちろん趣味は他にもあるが、外出の必要な趣味はそれくらいで、他は家の中でできることである。だからこそ、この趣味も素敵だと思う。とても良さげな茶葉が見つかった時は幸福感を覚えることができるから、これからも続けていきたい。


 そうそう、そういえば。


 エルクはあの後結婚するも妻に手を出して逮捕されたそうだ。

 夫婦喧嘩中の暴力だったようだ。


 だが自業自得だろう。


 彼を気の毒だとは思わない。



◆終わり◆

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