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婚約破棄されたのでアニマルと暮らします!

 私たちは両想いなのだと思っていた。

 でもそれは私の勘違いだったようで。


「あのさ、お前との婚約、もう破棄するわ」


 婚約者だった彼ハーバードは何事もなかったかのような顔で告げてきた。


 最初は意味が分からなかった。

 だって予兆なんてなかったから。


「そんな……さすがにいきなり過ぎるわ。どうしてそんなことを言い出すの」

「お前にはもう飽きたんだ」

「……酷いのね、一度は婚約までしておいて」

「それが何? だから言ってるだろ、婚約は破棄する、って。ちゃんとしてるじゃないか」


 どこがよ!

 ……言いたくなるのを堪えて。


「まぁそうね、いいわ、ならそうしましょ」

「物分かりが良くて助かる!」


 嬉しそうな顔をしないでほしい。

 不愉快だ。

 内心喜ぶのは個人の自由だが、それをそんなにはっきり顔に出さないでほしい。


 でも、彼に期待していた私も悪い。


 彼の私への想いはとうに消え去っている、そのことに私は気づけなかった。それは私自身の失敗だ。少しでも気づけていたなら私自身を救えたかもしれなかったというのに。


 だからもう潔く諦めよう。


「じゃあね。さようなら」


 私はもう彼には執着しない。


 これですべて終わり。



 ◆



 ハーバードとの婚約が破棄された後、私は実家へ帰った。

 傷心の私に、母親が、一匹の魔獣を贈ってくれて。

 それをきっかけに、動物・魔獣などの世話に目覚めた。


 そして今はたくさんの動物や魔獣たちと暮らしている。


 ちなみに一番好きなのは、最初に母親が贈ってくれた魔獣だ。うさぎに似たような容姿で、だっこできる大きさであり、ふわふわしている。腹部を触ると独特の声を出すところも愛らしい。


 魔獣は寿命が長いそうで、出会ってから十年以上経った今でもその魔獣は元気いっぱいだ。


 もちろん他の動物や魔獣にも愛情を注いでいる。

 これからもこんな風に暮らしていけたら……、と、心の底から思っている。


 ちなみにハーバードはというと。


 気に入っていた女性と結婚するもなかなか上手くいかず、一年も経たないうちに離婚することとなってしまったそうだ。

 また、その後には、離婚したらしいという噂が近所に広まったことですれ違うだけでもひそひそ話をされるようになってしまって、気まずさのあまりどこかへ引っ越していったそうだ。



◆終わり◆

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