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婚約破棄されて溜め息をついていた私の目の前に現れたのはもふふわな謎物体で……?

 婚約者から散々罵倒されたうえ婚約破棄を宣言された。


 切り捨てられたのだ。

 私は彼にとってただのサンドバッグでしかなかった。


「もう二度と俺の前に現れるな!!」


 彼の最後の言葉はこれだった。


 なぜそんな心ないことができるのか言えるのか、本当に、謎でしかない。


 婚約破棄され実家へ帰っている時、私は、溜め息をつくことしかできなかった。

 心が疲労し過ぎていて。


「やぁ! こんにちは!」


 そんな疲れ果てた私の前に現れたのは、もふふわとした水色の球体。宙に浮いているし、見たことのない生き物だが、言語は話せるようだ。意志疎通は可能かもしれない。


「全部見ていたよ! 気の毒だったね。でもあとは僕に任せて!」

「え……」

「あのひどい人、退治してくるよ! そしたら一緒に暮らそう!」


 その時は見間違いか何かかと思った。

 だってこの世にあんな生物がいるとは思えなかったから。


 疲れていたから変なものを見てしまったのだろう。幻か何かを。


 そんな風に思いつつ、私は実家へ帰った。


「そんな酷いことが! 許せん! もうずっとここにいたらいい!」

「そうよ、そんな人のところへいく必要なんてないわ」


 両親は受け入れてくれた。

 それは救いだった。


 ただ、あのもふふわな球体には、あれからずっと会わなかった。


 やっぱり幻だったのかなぁ、と思っていたら、驚くべき情報が耳に入ってくる。

 元婚約者の彼の身に不幸が続いたのだそうだ。


 親の突然死から始まり、恋人を十人も作っていたことがばれたり馬車の事故で大怪我をしたりと、嬉しくないことばかりが降りかかるようになったそうだ。


 それから数週間が経ったある日。

 あのもふふわな球体は私の前に現れた。


「あなた……!」

「覚えてくれていたんだね! ありがとう! 嬉しいよ!」


 忘れるわけがない。

 だって不思議過ぎるんだもの。


「あの酷い男は痛い目に遭ったよ。だから、一緒に生きてくれないかい?」


 ……提案は謎でしかないけれど。


 でも。


「分かりました、ぜひお願いします」

「やったぁ!」

「よろしくお願いします」

「嬉しいよ! あ、いくらでももふふわを楽しませてあげるからね!」


 こうして私はもふふわを思う存分堪能できることとなった。


 触れれば触れるほど癒やされる。



◆終わり◆

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