婚約破棄される系令嬢は実家の鳥と遊びたい!
「家柄が魅力的だから妻としてやろうと思っていたが……やはり無理だ。お前のような女と生きていくなど不可能だと判断した。よって! 婚約は破棄とする!!」
私は婚約者である彼ビクトからはっきり告げられてしまった。
家柄が魅力的だから、なんて、そんなことを明かしてしまって良いものなのか?
普通に考えて失礼過ぎないか?
思いつつも、私はそれを受け入れた。
なぜなら私にはもっとしたいことがあったから。
ここからとっとと離れたかったからだ。
「承知しました。では……さようなら、ビクトさん」
ビクトから婚約破棄を告げられた私は、明るく楽しい爽やかな心持ちで、速やかに実家へ戻った。
なぜ?
簡単なこと。
実家に可愛がっている鳥がいるのだ!
水色の身体が涼しげでとても愛らしい小鳥、早くあの子に会いたい。
◆
あれから数年、私は今も水色の小鳥を可愛がっている。
小鳥も徐々には年をとる。それは切なくもあるけれど、悪いことかというとそうではない。いつか尽きる命、だからこそ何よりも尊い。共にあれる時間には限りがあって、だからこそ、一秒が愛おしい。
私はこれからも小鳥と生きていく。
ちなみにビクトはというと。
あの後大金持ちの娘と結婚したそうだが、女性の両親から貧しい男などと馬鹿にされたり陰湿な虐めを受けたりすることとなってしまい、それによって精神が崩壊。
ある日の夕暮れ時、自ら崖から飛び降りたそうだ。
◆終わり◆