このたび婚約破棄されましたが、私は私なりに幸せになります。
「悪いが、君との婚約は本日をもって破棄とさせてもらう!!」
急に告げられて驚き。
だってそうでしょう、まったくもって想定していなかったのだから。
まさかこんなことになるなんて。
けれども私は心折れたりはしない。
婚約が人生のすべてではないから。
「そうですか。分かりました。では、私はこれで。さようなら」
こうして私は彼の前から去った。
これも人生、これも運命。
ならば私は流れのままにゆこう。
逆らいはしない。
◆
あの唐突な婚約破棄から数年、最近になって私はお菓子店を開いた。
今は徐々に繁盛してきて忙しくなりつつあるところだ。
これからどうなるかは定かでないけれど、私は私にできることを全力でしようと思っている。
人間誰しもそれ以上のことはできない。
でも、きっと、できることをきっちりとやっていくということが重要だろう。
私はこの幸福を守りたい。
ちなみに元婚約者の彼はというと、あの後昔の恋人とよりを戻すもまたもや一瞬にして関係が破綻し、別れることとなったらしい。しかも、激怒し恨みを持っていた相手の女性の手で彼は刺殺されてしまったそうである。
あぁ怖い怖い。
◆終わり◆




