婚約破棄された私は愛しい花と暮らすことにしました。
昔から花のことは大好きなのだけれど、人に気に入られる才能はあまりないようで……。
「お前とはもうやっていけん! 婚約は破棄だ!」
そんなことを言われてしまった。
「二度と俺の前に現れるな! 生意気な女!」
婚約者ブルーノンは怒っていた。
私の言葉など一切聞かず、ばっさりと切り捨てた。
どうして上手くいかなかったのだろう……、という思いはあるが、私は彼には執着しないことにした。
壊れてしまったものは仕方ない。
諦めよう。
◆
あれから数年、私は実家でガーデニングを楽しんでいる。
いろんな植物、いろんな花、色とりどりの世界。
私にとってはそれが何よりもの癒やしだ。
どんなに嫌なことがあっても、愛しい花たちと一緒にいれば自然と忘れてしまう。
……趣味を理解してくれる両親で良かった、幸運だった。
ちなみにブルーノンはというと、あの後忠実な女性を気に入って結婚したそうだ。しかし、忠実そうに振舞っているのは実は演技であり、彼女は実はそんな人ではなかったそうだ。本当はとても気の強い人だったそうだ。
それで、ブルーノンはずっと、妻に奴隷のように扱われているらしい。
◆終わり◆