115/191
雨降りの夕暮れ、婚約破棄されました。〜切なさを感じつつも〜
天の神が泣いているかのように雨粒が地表を叩く、そんな天候の日。
夕暮れに私は呼び出された。
「悪いな、来てもらって」
「いえ」
「伝えたいことがあったんだ」
「何でしょうか」
婚約者ブルンネンは真剣な面持ちで。
「婚約破棄させてもらうことに決めた」
そんなことを告げた。
「え……」
「もう心は決まったんだ。何と言われようが変える気はない」
こうして私たち二人の関係は終わってしまった。
切ない。
いきなりの婚約破棄には切なさを感じたけれど、私はそれを受け入れることにした。きっと何を言っても無駄なのだろう、と感じたから。説得したり話し合ったりすることは選ばなかった。
◆
あれから数年が経った。
私は今、世界で注目される植物学者として活動している。
毎日とても忙しいけれど、悪いことばかりではない。
これからも植物と触れ合っていくことができれば、と、心から思っている。
ちなみにブルンネンは、あの後色々あって裏社会に売られてしまい、奴隷のように扱われているそうだ。
◆終わり◆