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婚約破棄されてしまいましたが夢を叶えました。
「お前とはもうやっていけん! よって、婚約は破棄とする!」
ある日のこと、はっきり告げられてしまった。
驚きも悲しさも多少はあったけれど、だからといって肩を落としはしない。
次へ進むのみだ。
「分かりました。……では失礼しますね」
こうして私たちの関係は終わった。
◆
あれから数年、私は昔からの夢を叶えた。
薬屋になったのだ。
幼い頃病弱だった私は、近所の薬屋によく世話になっていた。それで、いつしか、薬屋になりたいと思うようになったのだ。ありふれ過ぎた動機かもしれないけれど。
だが、いずれにせよ、抱いていた夢は叶った。
とても嬉しい。
ちなみに元婚約者の彼はというと、あの後愛した人が詐欺師で騙されてしまって、財産をすべて失うこととなったそうだ。
◆終わり◆