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服飾系に関心のある婚約者から婚約破棄を告げられてしまいました。

 それはある春の日のこと。

 私は婚約者である金髪おかっぱの青年ビクトリィから呼び出しを受けた。


 薄々嫌な予感はしていたが、そんな理由で拒否することもできないので、渋々彼のところへと向かった——そうしたら、やはり。


「悪いねぇ急に。で、用件なんだけどさぁ。婚約、破棄させてもらうよ」


 服飾系の仕事をしているビクトリィは独特の柄の布を選別しながらそんなことを言ってきた。


「え、その、なぜでしょうか……」

「そんなこと聞かないでよぉ」

「婚約破棄でも構いません。ですが、せめて理由くらい教えていただきたいのです。何も分からず婚約破棄されては困ってしまいます」


 すると彼は持っていた布を床に放り捨てる。

 そしてこちらを鋭く睨んだ。


「うっるさいなぁ。どうでもいいこと聞くなっての」


 その一言で、私たちの関係は完全に終わってしまった。



 ◆



 あの謎過ぎる婚約破棄から九年。

 時が経つのは本当に早い。


 私はあの後別の男性と結婚し、今では子どもも生まれ、細やかな幸せの中で生きることができている。


 一方ビクトリィはというと、婚約破棄ご希望していた服飾系の仕事につけたそうだが——数か月後に彼が考えた服のデザインの多くが他のものの模倣であったことが判明し、それによって職を失うこととなってしまったそうだ。



◆終わり◆

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