このたび、圧の強い伯母の紹介で婚約した彼から婚約破棄を告げられてしまいました。
数か月前、圧の強い伯母の紹介で一人の青年ヴェルチと婚約したのだが。
「本日をもって、君との婚約は破棄とする」
突如そんなことを言われてしまった。
「そんな。なぜです? 唐突過ぎませんか」
「知るか」
「せめて理由くらい教えてください」
「うるさい! 君は黙ってさればそれでいいんだ!」
婚約破棄の理由を尋ねようとしただけなのに怒鳴られてしまった。
こうして私は彼に切り捨てられた。
婚約を一方的に破棄されてしまった私は、実家へ戻り、両親に事情を説明した。すると両親は私を受け入れてくれて。おかげで暮らす場所を得ることができた。
また、父の知り合いにそういうことに詳しい人がいるということで今回の件についてその人に相談してくれて——その人の協力によって、慰謝料を支払ってもらうことができた。
何も金をもぎ取ろうとしているわけではないけれど。
ただ、少しくらいは慰めにはなった。
その後私は両親と同居し楽しい人生を堪能。
だがヴェルチは私のように幸せにはなれなかったそうだ。
彼はある時一人の美しい女性に惚れ込んだそうなのだが、結婚話を進めている途中で逃げられてしまったらしい。
しかも、ただ結婚ができなかったというだけでは済まなかった。というのも、その女性には犯罪歴があったそうなのだ。その犯罪歴を押し付けられる形になってしまったヴェルチは、罪を犯していないにも関わらず犯罪者として扱われることとなってしまったらしい。
◆終わり◆