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今日は婚約破棄記念日! 〜自由な人生が始まる日〜
「本日をもって、君との婚約は破棄とする!」
ある晩餐会にて、婚約者エヴェジーからそう告げられた。
それも、皆に聞こえるような大きな声で。
とはいえそれによる悲しみはなかった。
だって!!
婚約破棄してほしい気持ちでいたから!!
私だってエヴェジーのことは好きじゃない。
「そうですか……承知しました。では私はこれで失礼します」
嬉しさは顔に出さないように。
意識しつつ、私はその場から去った。
その後私は一旦実家へ戻った。そして両親と相談した後に、昔夢みていた旅を始めることにした。幸いお金には困っていない、旅費はある。そういうことで、私は自由な人生への一歩を踏み出した。
それから十年、私は実家へ戻った。
「お帰り。無事で良かったわ」
「ありがとうお母様」
「生きてて良かったなぁ。こう見えて心配してたんだぞぉ」
「お父様は相変わらずね……」
その後両親から聞いたのだが。
エヴェジーは、馬車に乗って遠出した帰りに道の脇から転がって落ちてきた岩に当たられ飛ばされ、打ちどころが良くなくて亡くなってしまったそうだ。
運が悪かったようだ……。
◆終わり◆