4-2 トールの街
「ギルド、ギルド・・・。あ、あった!」
「なんというか・・・、わかりやすいな。」
「まあ、わかりやすいことはいいことだよ。」
『クオン!』
ドーンという擬音語が似合いそうな建物に、剣のマークが描かれた看板が掛かっている。
わかりやすすぎて立ち尽くす私たちに、「早く行こうよ!」と言いたげにシルが鳴いた。
「えーと、お、お邪魔します・・・。」
「・・・。」
中には人がたくさんいるのではと思っていたけど、そんなことはなく、ちらほらと冒険者のような格好の人がいるだけだった。ちょっと拍子抜け。
さっそく受付へ。
「こ、こんにちは。冒険者登録をしたいんですができますか?」
「はい、できますよ。誰がなさいますか?」
「私とザク、えっと後ろの男性、がします。」
「わかりました。では、こちらの紙に記入をお願いします。文字は書けますか?」
「ええと・・・。」
ちらっとザクを見る。あ、出来るのね、オッケー。
「はい、大丈夫です。」
「そちらの紙に、名前、職業、魔法が使えるなら魔法の属性、スキルの記入をお願いします。魔法の属性とスキルはできれば全て書いていただきたいですが、書きずらいものは書いていただかなくても大丈夫です。」
「わかりました。」
えっと、名前は「ミスズ・カミカワ」、職業は「テイマー」、魔法は「聖魔法と水魔法」、スキルは「動物好き」、っと。
「ザクはなんて書いた?」
「ん。」
どれどれ・・・?
名前「ザクラス・カミカワ」、職業「魔法師」、魔法「炎、水、土、風、闇」、スキル「特になし」
「ザク、名前・・・」
「我とミスズは家族、だからな。」
「ふふっ、ありがとう。」
これは・・・、すごく嬉しいなあ・・・
「あ、スキル「特になし」になってる。なんで?」
「我のスキルは竜の時のものだからな。今は人のふりをしているゆえ、書けないのだよ。」
「なるほど。」
まあ、ザクはスキル無くても強いし、気にしないでおこう。
「できました。」
「拝見させてもらいますね。・・・・・。ザクラスさん、全属性じゃないですか!それに、レア属性の闇魔法まであるなんて!」
「そんなに珍しいんですか?」
「はい!レア属性持ちは1万人に一人いるかいないかくらいなんですよ!」
「そ、そうなんですね。」
「ええと、ミスズさんは・・・。ミスズさんもレア属性の聖魔法持ちですか!」
「まあ、はい。」
「職業は・・・、て、テイマー、ですか。」
「え?何か間違ってますか?」
「間違ってはいないんですが・・・、テイマーはあまり良い職業とは言えないんです。ミスズさんは聖魔法をお持ちなので、魔法師に変更してはいかがでしょう?」
「うーん。でも、私テイマーになりたかったので、テイマーのままでいいです。」
「そうですか・・・・。一応、後からでも変更はできますので、いつでもお声掛けください。」
「ありがとうございます。」
「・・・・・。カードが出来ましたので、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「・・・。」
「冒険者はFランク~Sランクまであり、依頼の達成度や討伐数でランクアップします。ギルドの規則により、お二人ともFランクからのスタートとなります。依頼を受けた場合、失敗したら違約金を支払ってもらいますので気を付けてください。」
「わかりました。」
「では、説明は以上になります。他に何か質問はございませんか?」
「ここに来るまでに魔物を何匹か討伐したんですが、買取ってしてもらえますか?」
「はい、大丈夫です。買取はとなりのカウンターでしていますので、そちらでお願いします。」
「わかりました。」
「他にはありませんか?」
「えっと、従魔の登録はできますか?」
「はい、できますよ。カードお借りしますね。・・・・。はい、出来ました。これで従魔登録はできていますが、念のため専門店で首輪の購入をしてください。」
「わかりました。ありがとうございました。」
そのまま買取カウンターへ移動。
「買取お願いします。」
「了解。じゃ、このカウンターの上に出してくれ。」
「ザク、お願い。コソッ(この近くで狩った比較的弱かったやつで)。」
「わかった。」
ドドドドン!!
「おぉ、こりゃすげー数狩ったな!お前らつえーな!」
「あ、ありがとうございます。ザクのおかげです・・・。」
「じゃ、さっそくやらせてもらうぜ。」
「お願いします。」
・・・・・・
・・・・
・・
「ホーンラビット20体、ゴブリン30体、ワーウルフ14体で、合計銀貨15枚だ。」
「わぁ!ありがとうございます!」
「おう!これからもよろしくな!」
「はい!」
わあああああ!!異世界で初めてのお金だ!
「嬉しそうだな。」
「当たり前じゃん!」
おっかね!おっかね!
これからもどんどん稼ぐぞーーーー!!!