3-3 ~狼との出会い③~
遅くなりました。
許してくださいな、てへぺろ(>ー<☆)
・・・・・
・・・
はい、すみませんでしたorz
「フェンリルの呪い子?」
「なるほどな。それなら納得だ。」
「なに?どういうこと?」
「ミスズ、呪い子というのはな」
『いえ、黒竜様、私に説明させてください。』
「・・・。わかった。」
『では、少女よ。』
「ミスズって呼んでほしいな。」
『分かりました。ミスズ、「フェンリルの呪い子」というのはですね、数十年に一度生まれる、生まれたときから弱体化している個体のことをいいます。普通のフェンリルなら体力も魔力も高いのですが、呪い子はそれらのどれにも恵まれないのです。』
「そんな・・・。」
『そして、どういう理由なのかわかりませんが、呪い子が産んだ子供はその呪いを受け継がずに、他のフェンリルよりも強くなって生まれてきます。だから、呪い子はその強い子を産ませるためだけに生かされ、終わったら殺されるのです。しかし、私はそんなのお断りなので、にげてきたのです。』
ものすごく悲しい話だ。聞いてるだけでこっちが泣きたくなるような話なのに、淡々と話すフェンリルさんはどんな気持ちなんだろうか。
『ここまで逃げてきたのはよかったのですが、魔物に襲われてこのままではお腹の子もろとも死んでしまうと思った時に、お二人が助けてくれて。本当にありがとうございました。』
「ううん、気にしないで。・・・。よく、頑張ったね。」
『ふふふっ、ありがとうございます。』
「我は、その群れから出て来て正解だったと思うぞ。」
『そんなこと言われると、照れてしまいます、ね・・・っううっっっ!!』
急にフェンリルさんが苦しみだした!傷が開いたのかな!?
「どうしたの!?」
『はあ、はあ・・・。実は、もう一週間前からお腹の子が生まれるかもしれなかったのです。しかし、ずっと魔物に襲われていて・・・。産むのを無理やり先延ばしにしたせいかもしれません・・・!』
そう話している間も、フェンリルさんはずっとくるしそうだ。
『すいませんが、子を産むのを手伝ってもらってもいいでしょうか・・・?』
「もちろんだよ!ね、ザク!」
「ああ。なにをすればいい?」
『では、黒竜様は近づいてきた魔物の討伐をお願いします。』
「わかった。」
『ミスズは、出てきた子を引っ張って、外に出る手伝いを。』
「了解!」
それから、フェンリルは一時間かけて子どもを産んだ。ザクはフェンリルさんの負担を少しでも減らせるよう、できるだけ音が出ないように討伐した。私は励ましながら、出てきた子供を引っ張った。
そして・・・・
『お二人とも、何から何まで、ありがとうございました。私一人では、産むことは、できなかったでしょう。』
「困ったときはお互い様、だよ!」
「その通りだ。気にするな。」
『・・・。私の子を、どうかよろしくお願いします。』
「ああ。」
「え?どういうこと・・・?よろしくって・・・」
『ミスズ、私は呪い子です。』
「う、うん。」
『呪い子は体力が著しく乏しいのです。子を産むだけで死んでしまう程に。』
「・・・!!」
『もうわかりましたね。』
そんな、そんな・・・!フェンリルさんが死んでしまうなんて・・・!
あ、そうだ!!
「神様に祈れば、生きれるかもしれない!」
そうと決まれば、今すぐに祈って・・・!
「だめだ、ミスズ!!」
「!?なんで止めるの!!」
「これは自然の摂理だ!個人のために変えていいものではない。」
「そしたら、フェンリルさんがっ!」
『お二人は何の話をしているのです?』
「ミスズは強い神の加護を得ていてな、その力でお前を生かそうとしているのだ。」
『なるほど。そういうことですか・・・。』
フェンリルさんは、ふっ・・・と優しく笑った。愛おしいものでも見るかのように。
『ミスズ、私はそのようなもの望みません。』
「え・・・」
『いえ、望んではいけない、が正しいでしょうか。いいですか、ミスズ。ここで私を生かしてしまうと、今まで「子供を産んだら死ぬ」ことでバランスをとっていた種族が、バランスがとれなくなり最悪絶滅します。』
「まさかそんな・・・」
『だから、いいのです。子を身ごもったときから覚悟していたことです。』
「・・・。わかった。」
『気持ちは嬉しかったです。ありがとうございます。』
「うん。」
それから、私たちはいろんな話をして・・・
ついに、その時が来た。
『もう、限界のようです。』
「そっか・・・。せっかく会えたのにね。」
『最期にお二人に会えて私は幸せ者ですね。』
「私もそう思うよ。」
『温かい目で見送られるのは嬉しいですね・・・。私の子を、お願いしますね。』
「もちろん。愛情たっぷりに育て上げるよ。」
「我と同じくらい強くしてやろう。」
『頼もしいですね。・・・さようなら。』
フェンリルさんは静かに、幸せそうに息を引き取った。
「これで、良かったんだよね。」
「ああ。」
「「・・・。」」
私たちはフェンリルさんのお墓を作った。天国で幸せに暮らしてください、と祈りを込めながら。
「では、行こうか。」
「うん。・・・この子を、立派に育てようね。」
「言われるまでもない。」
「あはは。そっか。」
フェンリルさんが命をかけて産んだこの子に、心配をさせないように。安心して生きられるように。
この異世界で、頑張らなくちゃ。
なんか・・・。
シリアスになってしまいました。
ああ・・・、フェンリルさん・・・・
ああ・・・・・
次回からはいつものほのぼの冒険に戻ろうと思います。
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