表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

3-2 ~狼との出会い②~

狼を襲おうとしていた大蛇をザクが倒したことで、危険は去ったと思ったのに・・・・!!

こんな、こんな事って・・・!!


狼は走りながら魔物に襲われたのだろうか、脚にあるいくつもの切り傷から血が出ている。

元は綺麗だったであろう銀色の毛も、土や葉っぱが絡まり灰色に見えた。

先ほどの大蛇が毒を放ったのだろう、顔がひどく青ざめていた。


あまりのことに、私が呆然と立ちすくんでいると、ザクが怒鳴った。


「ミスズ!何してるのだ!お前はこの者を助けるためにきたのだろう!?さっさと動け!!」

「っっ!!い、今行く!!」


ザクの叱責に我を取り戻した私は、急いでザクと狼のもとへ駆け寄った。


「ザク、私どうしたらいい?」

「ミスズ、聖魔法どこまで使える?」

「わからない。でも、ヒールとキュアは確実に使えるよ。」

「わかった。ミスズはその二つをかけ続けていてくれ。我は食べれる物を急ぎ探してくる。」

「了解。」

「行ってくる。頼んだぞ。」

「うん!」


一瞬でいなくなったザクに驚きつつ、私はすぐに魔法をかける。


「狼さん、絶対助けるからね・・・!《ヒール》!《キュア》!《ヒール》!《キュア》!《ヒール》!・・・・・」


どのくらい時間がたったのだろうか。いや、実際は5分もたっていないのかもしれない。でも、ミスズにとっては永遠にも感じていた時間が、ザクが戻ってきたことで終わる。


「《ヒール》!《キュア》!」

「今戻ったぞ、ミスズ!」

「!ザク!!食べれそうなもの見つかった!?」

「ああ。急いでいたから、質はそこまでのものばかりだが。」

「ううん、ありがとう!」

「この者の調子はどうだ?」

「ザクがいなくなってからずっと回復魔法かけてるけど、あまり良くならない・・・。」

「かなり傷を負っていたからな・・・。我が聖魔法を使えれば、もっと容態が良くなったはずだが・・・。」

「今は気にしないでいいんじゃない?それよりほら、食べ物食べさせてあげないと!」

「ああ、そうだな。」


それから私たちは、途中で回復させながら狼に食べれるだけ食べ物を食べさせた。私もザクも魔力回復のために食べたけど。

回復魔法と食べ物の効果が出てきたのか、狼はだんだん回復してきた。


『ありがとうございます、黒竜様、人間の少女。』

「!?しゃべった!」

「しゃべったって・・・。ミスズ、お前この者の声を聴いてここに来たであろう?」

「そういえばそうだった。」

『ふふふ、お二人は仲がよろしいのですね。』

「もちろん!家族だからね!」

『なんと・・・。確か、黒竜様は昔に人間によって封印されていたはずでは?・・・ま、まさか!』

「ああ。ミスズが封印を解いてくれた。だから我はミスズに従属契約をしたのだが・・・。」

「私従属って嫌でさ。家族になってもらったんだよ。」

『なるほど、それは素敵ですね。』

「でしょ?」


他人に「家族」を素敵って言われると嬉しいな。


私の話を聞いてなにか考えこんだ狼さん。どうしたんだろう・・・


「おい、フェンリル、お前お腹の子はどうしたのだ?」

「『!!?』」

「フェンリル!?」

『気づいていたのですか!?』

「当たり前だろう?我は竜ぞ?」


え、え、え?フェンリル?確かに、なんかおっきい狼だなあとは思っていたけども!でも、それは異世界だからだと思ってた!まさか、フェンリルだったなんて!


「ほんとにフェンリルなの?」

『あら、少女はわからなかったですか。・・・。はい、わたしは黒竜様の言うとおり、フェンリルです。』

「まじですか!」


すげーーー!!私今フェンリルと喋ってる!


「やはりな。だが、それではおかしくはないか?」

「?なにが?」

『・・・。』


なんもおかしいところなんてなくない?


「フェンリルは聖獣といって、魔物よりも強い種族だ。いくら子を身ごもっていても、魔物なんかに死にかけまで追いつめられるのはおかしい。」

『・・・。』

「それは、言いすぎだよザク。それに、個体差があるのかもしれないし・・・。」


でも確かに、フェンリルが魔物より強いのなら、死にかけにまでなるのは変な気がする。


『・・・。そう、ですね。助けてくれた心優しいお二人には、話してもいい気がします。』


そう言ったフェンリルは、腹をくくった面持ちで言った。


『実は私は、「フェンリルの呪い子」なのです。』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ